本記事では、全エンドクリア済みの筆者が
◇前半ではゲームの概要から魅力、このゲーム買うべき?をご紹介
◇後半ではネタバレありの解説、考察、全エンディング紹介、感想レビューコーナーも
全エンディングや設定など徹底解説、考察しているので、既プレイの方も楽しめる記事となっています。
※本記事では恐怖画像や死亡など残酷な表現が含まれます。苦手な方はご注意。
『ウツロマユ - Hollow Cocoon -』の基本情報について
開発 / 販売元 | NAYUTA STUDIO / NAYUTA STUDIO |
対応機種 | Steam / Switch |
価格 | Steam::¥1,480 Switch:¥1,980 |
ジャンル | ホラーアドベンチャー |
プレイ人数 | 1人 |
発売日 | 2023年12月7日(Steam) 2024年7月25日(Switch) |
どんなゲーム?
『ウツロマユ - Hollow Cocoon -』は
一人称視点の3Dホラーアドベンチャーゲーム
逃げるしかできないバイオハザード1という感じ
ストーリー概要は
主人公の大学生湊(ミナト)が、祖母の絹が倒れたと聞かされ、実家の一ノ瀬村に父の栄治と帰省する。
湊が先に実家に帰ると栄治から電話が鳴り、絹が事件に巻き込まれた可能性が浮上し、警察沙汰になったので今日は帰れなくなってしまったと告げられる。
一人ぼっちになった湊が昼寝をして起きると、恐ろしい存在と遭遇する。
その存在から逃げつつ謎を解き、物語の真実を知ろう。
本作の魅力
バイオハザード1のような緊張感
戦う術などないので、とにかく逃げるしかない湊。
恐ろしい存在から逃げるには
手持ちの懐中電灯の光に気をつけながら
敵が近づいてきたら足音を立てないようにしゃがみ
押し入れに隠れるなどして逃げよう
このスリルがたまらない
80年代ならではの和ホラー
リアル志向のグラフィックにより臨場感がグッド
細かいところまで作り込まれているので小道具など細部まで楽しめることだろう
携帯電話もない時代
閉鎖的な環境で敵から逃げる
まさに和ホラー
逆に舞台が都会になると、それはホラーではなく、ただの事件になっちゃうんだよね
(闇が)深いストーリー
踏切の中の女性
彼女はいったい誰なのか。
本作のストーリーは綿密に練り上げられている。
本記事ではそれがすべて分かるように丁寧に解説パートで解説していくので安心。
クリア後も是非見にきてほしい。
丁寧なゲームシステムでストレスフリー
本作はインディーのホラーだ。
インディーホラーといえば、丁寧さに欠けて低評価にされることも少なくない。
一方本作の丁寧さは異常とまで言える。
難易度はいつでも変更可能で、死に過ぎたら難易度変更の提案までしてくれるし、
インタラクトできる物も分かりやすくマークされており、こんなの気づくか、みたいなことは起こらず、とても丁寧に工夫されていた。
テストプレイを幾度と重ねたことが伝わる、ユーザーにとっての苦痛要素は徹底的に除外されている。
もちろん屋敷は広いし、恐ろしい存在から逃げるのはゲームの根幹なので、そこは頑張れと言わんばかりに普通に難しい
上品な作り
インディーゲームとは思えない上品な雰囲気がここにはある。
AAAゲーム(バイオとか)かと思ったぐらいゲームの完成度が高い。
これプログラマー1人とデザイナー1人ってマジ?
ミニゲームも充実
ゲームの各所で散見される10円玉。それを使ってさまざまなレトロゲームを遊ぶことができる。
リアルなグラフィックゆえに、本当にレトロゲームで遊んでいるような感覚になった。
ちゃんと賞品もあるので暇つぶしに遊んでみよう。
ホラーゲーム好きだけど買うべき?
『ウツロマユ - Hollow Cocoon -』は1,480円のインディーホラーアドベンチャーゲーム。エンディングは全4種あり、全てを見ようと遊べば6時間は遊べるだろう。丁寧なゲームシステムはプレイヤーを飽きさせず、ゲーム各所に落ちている登場人物たちの手記が考察を捗らせてくれる。アクションも楽しい、ストーリー設定も楽しい、丁寧さも満点、これはホラーアドベンチャーゲームとしてかなりの高評価をつけたい。遊んだあとも、遊んでいるときも思ったが、これが1,480円というのは良い意味で信じられなかった。普通に2,000円は超えても良かったと思ったほどだ。逆に何が足りなかったかと言われると、不満はなく、満足感しかない作品だった。迷っていらっしゃるならば、セールを待たずして今遊んでほしい、そのぐらいの良ホラーゲームだ。
全エンド+ストーリー全体の解説(ネタバレあり)
ここからはネタバレありの解説パートとなる。未プレイの方は特大のネタバレなので注意
ちなみに各エンディングの条件や内容全体は別途動画化しているので
詳しい条件や映像が気になる方はコチラでチェック
各エンディング解説
エンド1「人」
綾乃とのラスボス戦のあと、「とどめを刺す」を選択すると見られるエンディング。
まとめると
湊が絹の墓の前で現状を語るシーンから始まる。綾乃のことは殺したと思っていたが、埋葬しようと現場に戻ると綾乃の姿はどこにもなく、あるのは穴のあいた巨大な繭と、地面を這う無数の蚕だった。この場所は、じきにダム工事によって湖の底に沈むので、湊は絹に別れを言いに来たのだ。別れの直後、湊が鳥居の方を見ると、生存している綾乃の姿を目にする。それでも湊は、人として生きていくことを綾乃に言いエンドロールとなる。
エンド2「異形の末裔」
ラスボス戦のあと、綾乃に「とどめを刺さない」を選ぶと見られるエンディング。
舞台となった祖母の家で、栄治と電話をするシーンから始まる。湊は栄治に、絹の家を継ぐことを伝えた。湊によると、ダム建設の話も立ち消えになったようだ。狼狽する栄治をよそに「父さんは人だから…」とつぶやき、二度と電話するなと言って電話を切った。シーンは地下の牢屋に移り、湊が綾乃の世話をする様子が描かれている。湊は鶏からとった血を綾乃にあげながら、湊はこれからずっと、綾乃と一緒にいるんだと綾乃に伝えエンドロールとなる。
エンド3「UFO」
2週目以降に見られるエンディング。
2週目以降では、なぜか絹の家や蔵にUFOのポスターが貼ってある。それを調べた上で、離れの押し入れの中の不思議なマークを調べると、隠し扉になっていることが分かる。隠し扉の奥を進むと開けたスペースとミステリーサークルが。オカルト研究会の湊は、それを見つけて大喜びし、挙句の果てにUFOがお迎えしてくれる。アルミホイル帽をかぶった綾乃に見送られエンドロールとなる。ちなみにエンドロールでは専用の音楽が流れる。
ちょっと解説しておくと、サイレントヒルというホラーゲームにも必ずUFOエンドが存在している。これはそのパロディだと言えよう。
エンド4「繭姫」
2週目以降見られるエンディング。ラスボス戦のあと、綾乃に「ウツロを飲ませる」を選ぶと見られるエンディング。
離れの屋内で座る綾乃と会話するシーンから始まる。湊が「やっと繭から出てきてくれたんですね」と言い、綾乃の横には穴のあいた巨大な繭がある。「長かった…この日が来ることをどれほど待ちわびたか」と湊が言うので、おそらくラスボス戦からしばらく時間が経過したあとのことのようだ。母にそっくり、と湊は綾乃に近づきうっとり見ていると、綾乃は自身の胸に手を当て、目の色が赤色に変化する。直後綾乃が湊に襲い掛かりエンドロールとなる。湊が抵抗したかは不明。
死亡エンド1「鶏の逆襲」
綾乃に会うまえに、ダメージ判定のあるダッシュで庭の鶏を全羽殺すとスタート
大地が揺れ、絹の家の方向から巨大な鶏が湊に突撃してくる。鶏に触れるとゲームオーバーとなる。ネタエンディング。
死亡エンド2「メリーさんの電話」
湊が絹の家に到着した直後に、「9679」の番号で電話をかけるとスタート
ゴミ捨て場から始まり、メリーさんのいる場所と、家でメリーさんと電話することを繰り返すと見ることができるエンディング。まさにメリーさん。これもネタエンディングだ。本当に細かい作りの良ゲーだ。
ストーリーの解説
ここではゲームのスタートからラスボス戦までの流れをサクっと解説していこう。このパートは考察の材料となる。
ある日、大学生の湊は寮母に呼ばれ、父の栄治からの電話に出ると、祖母の絹が倒れたと聞かされる。栄治から急いで帰省するようにと言われるが、湊の母の結が亡くなった当時、絹は結の葬儀に出席しなかったため、湊は絹のことを嫌っている。それでも栄治に促され、嫌々絹の家へと向かうことになる。舞台は一ノ瀬村という場所。ダム工事の話が挙がっているのか、ダム工事反対の看板が散見される中、湊は栄治より先に絹の家に到着する。
疲れた湊はこたつで昼寝をしてしまう。起きると真っ暗になっており、明かりをつけると玄関で物音が。駆けつけると首から下が切られた鶏の死骸が横たわっており、直後栄治から電話がかかってくる。どうやら栄治はまだ病院にいるらしく、絹の倒れた原因が病気や事故ではなさそうであり、警察沙汰になっているので今日は帰ってこれないということだった。電話を終え、台所で水を飲んでいると、窓に白い人の影が横切る。その先の庭に行ってみると、鶏を貪っている白い化物の姿を目にする。その化物は、本当の祖母である綾乃だ。そこから湊は逃げながらもなんとか警察に電話する。ところが警察との電話中に再び綾乃に見つかり、湊は助けを呼ぶことを断念。外の蔵まで逃げ、さらに蔵から繋がる母屋(旧屋敷)に辿り着く。そこでさまざまな手記を目にしつつ綾乃から逃げ、湊は「離れ」に辿り着いた。そこは綾乃の部屋や絹の部屋、そして因縁の地下牢がある場所だった。仕掛けを解いて、地下牢で綾乃を岩の下敷きにし無力化した湊は、各エンディングごとの終わりを迎える。
各キャラ紹介
背景設定の解説をするまえに、このパートでは登場人物についてさらっと紹介していこう。たぶんその方が背景設定が分かりやすい。
湊(みなと)
本作の主人公。喉が渇く性分持ち。オカルト研究会に所属しており、UFOを信じている。父は栄治。母は結。化物の娘の息子であり、魔よけの札に嫌悪感を抱くほどには化物の要素が遺伝している。
栄治(えいじ)
湊の父親。病院で絹につきっきりのため、作中で現れるのは序盤のみ。結とは普通に恋愛結婚したっぽい。
結(ゆい)
湊の母親。20代で自死している。死んだ理由は真実を知ったため。死亡する前日までは、絹を母親と思い、佐一を父だと思っていた。戸籍上は絹が母親だが、本当の母親は化物になった後の綾乃。
佐一(さいち)
戸籍上は結の父親。実際は結の父親ではないが、結が生まれた直後に深山家を飛び出て、結が結婚するまで結を大事に育てた。結が独立したことを皮切りに深山家に戻るも、長い年月が作り出した恨みから、絹に殺されてしまう。
綾乃(あやの)
本作に登場する唯一の敵。父は久兵衛。母親を小さい頃に亡くしている。絹の姉でもある。佐一と婚約するも、それに嫉妬した絹により山に置いていかれ、"彼女"と融合し化物となる。その後結を産み、結は湊を産んだ。
絹(きぬ)
綾乃の妹。佐一に恋をし、佐一と婚約が決まっている綾乃に嫉妬していた。ある日、紅葉狩りで綾乃と2人で山に行くも、「綾乃と別れること」、そして「佐一への恋」の葛藤を綾乃にぶつけ、挙句に綾乃を山に置いていってしまう。そのせいで綾乃は"彼女"と融合して化物になり、真冬の山でひと月無傷で生き残った。その後、帰ってきた綾乃の手を二度と話さないと決意し、狂気じみた執着心で化物となった綾乃の世話をするようになる。久兵衛を綾乃に食べさせたのも絹。そして数十年後、結には真実を告げ自死させ、佐一は井戸に突き落とし殺害、最後は愛するがゆえに綾乃を毒で殺害しようとし、直後絹も自死しようとする。結果的に綾乃は生きており、絹は治療の末に死亡する。
久兵衛(きゅうべえ)
綾乃と絹の父親。佐一が、自分に逆らわないとふんで婿養子に迎える。綾乃が化物となってからも必死で面倒を見ようとし、綾乃を元の姿に戻すウツロまで発見した。しかし、化物に綾乃の心が残っていることに気付いた久兵衛はウツロを使うことはできず、もはや自分にできることはないと悟る。綾乃の前ですすり泣いていると、絹が「たべていいよ」と許可を出し、綾乃に食べられてしまう。
島村彌平(しまむら やへい)
綾乃の主治医であり久兵衛の友。綾乃が下女をかみ殺してしまった際、下女を綾乃と偽り、偽の死亡診断書を書いてしまう。久兵衛の死亡後も綾乃を診続けるも、限界がきて自死してしまう。
下僕
深山家の下僕。まだ隔離段階だった蔵で、化物の綾乃を見てしまう。結局綾乃がいる蔵の牢屋に放り込まれ、綾乃に食べられてしまう。ちなみに鍵をトイレに落としてしまうおっちょこちょい。
下女
深山家の下女。離れに隔離していた綾乃に殺され食べられてしまう。この日を境に、綾乃は地下牢に幽閉されることとなった。
背景設定の解説(ゲームが始まるまでの出来事)
ここでは「なぜ綾乃がああなってしまったのか」とその後、ゲームスタートまでの
詳しい経緯を、手記などから読み取って整理、解説していこう。
このパートは、物語の背景設定が分かる重要なパートなので必見だ。
時系列でみると分かりやすいので重要な手記の内容を要約する。全部見るのが面倒な方向けに、最後に時系列を全部まとめた「まとめ」を用意しているのでそこを見ていただくといい。
1929年5月10日
佐一は深山家の婿養子として選ばれた。綾乃と絹の父である久兵衛から、「自分に歯向かわない従順な男として認められた」からだろうと佐一は思っていたようだが、それよりも、綾乃との婚約を交わしたこと、そして来春の祝言を楽しみにしていた。
1929年8月19日
佐一が、綾乃と絹にお揃いで真珠のかんざしを贈る。初めて男性から贈り物をされたことに絹は喜び、佐一に想いを寄せるが、佐一が「綾乃さんは、蝶のような人だね」とつぶやいた言葉によってその想いは、婚約者である綾乃への嫉妬心に変わってしまった。
1929年9月8日
綾乃と絹が2人で歩いているところを佐一が目撃する。綾乃は絹と話しているときは屈託のない笑顔なのに、佐一に気付くと笑顔は影を潜めてしまうことに気付いた。そして薄々気づく、綾乃がそばにいてほしいと望む相手が自分ではないということに。
1929年10月16日
絹が綾乃に意地悪をするようになってしまう。それに対して綾乃は「絹ちゃん、ごめんね。許してね」と言う。絹は謝る必要性を感じていなかった。
1929年11月23日
綾乃と絹が2人で紅葉狩りをしに、山に入った。絹の意地悪を咎めることもなく、綾乃は優しかった。いつも傍にいた綾乃が離れてしまうこと、恋慕っている佐一と綾乃が一緒になることの葛藤があふれ、綾乃にその葛藤をぶつけてしまう。絹は繋いでいた手を振りほどき「置いていかないで」という声が聞こえるも聞こえないふりをして、絹は1人で山を下りてしまった。当時絹は、綾乃が自分のあとを追ってくると思っていたようだが綾乃は帰ってこなかった。綾乃の行方不明日となる。
1929年11月23日~1929年12月23日
綾乃が"彼女"と混じる。綾乃の殴り書き曰く、彼女は綾乃の心を追い詰め、綾乃がだんだん無くなっていくらしい。それを綾乃は「彼女は、私を食べ続けている」と表現している。詳細な日時は不明だが、行方不明中の出来事である。
1929年12月23日
門の前に綾乃が立っているのを絹が発見する。ひと月も冬の山を彷徨っていたのに着物も髪も綺麗なままだった。帰って来た綾乃を抱きしめ、絹はもう二度と手を離さないと決意する。医師の島村彌平も呼ばれてかけつけるが、傷ひとつないことに不気味さを覚える。
1930年1月24日
綾乃が戻ってからひと月。医師の島村は、綾乃が浴びるように水を飲むのに、食事は一切せず、睡眠もまったくとらず、排せつもしないことに気付いていた。
1930年4月21日
綾乃は日を避けるように暗い部屋に閉じこもる。ある日久兵衛が桜を見せようと、部屋の戸を開けたところ、綾乃がひどい火傷を負い、皮膚がただれていることを島村が確認する。ちなみにこの火傷は数日で治癒した。
1930年11月12日
綾乃が下女をかみ殺して食べてしまう。久兵衛は綾乃を、決して人目のつかないよう隔離していた(おそらく蔵で)が、たまたまた入り込んだ下女を殺してしまったのだった。久兵衛は島村に泣きすがり、翌日(13日)、島村は医師としてあるまじき、綾乃の嘘の死亡診断書を書いてしまった。死体には殺された下女が利用された。この日から、綾乃は離れの地下牢に幽閉されることとなる。同日、佐一は久兵衛に呼びつけられる。久兵衛は鬼の形相で佐一に、「綾乃に会いたければ絹と結婚し、深山家の人間として生きる覚悟」との交換条件を提示し、佐一を屋敷に入れる。翌日、佐一は牢の中の綾乃を見て真実を知ることとなる。久兵衛が佐一を呼んだのは、深山家存続のためと思われる。
1936年2月11日
綾乃が結を、6年間ずっと妊娠していたことが確認される。
1938年12月23日
綾乃から結が生まれた日。久兵衛は消え、9年身ごもっていた綾乃の腹から、帝王切開で結が生まれる。結は戸籍上、絹と佐一の娘ということになった。その後、佐一は結を連れ屋敷を出た。
1952年7月3日
結が、13歳の祝いで佐一からもらったカナリアの血を飲んでしまった日。水を飲んでごまかしてきたが、ついには耐えられなくなった模様。佐一は結を安心させるため、血を欲するのは佐一譲りのものだと説明し、肉屋で血を買い求め、佐一も結と血を飲むようになった。
1960年3月18日
結が結婚して独立したため、佐一が深山家へ戻る。
1962年6月29日
医師の島村彌平が自死。
1968年5月5日
佐一が久兵衛の遺したウツロを見つける。その約2週間後に佐一は絹に殺されてしまったため、ウツロを使うまでには至らなかった。
1968年5月20日
佐一が絹に殺された日。同年5月9日に、佐一が綾乃を元の姿に戻す方法が分かったと絹に伝える。ずっと綾乃を放っておいた佐一を、絹は許すことができず殺害を決意。昔もらった真珠のかんざしを井戸に投げ、それを佐一に取ってほしいと伝え、その時佐一を井戸に落とした。ちなみに佐一は、綾乃が醜いからではなく、結のために深山家を出たことを手記で綴っている。
1968年9月21日
結が自死。同日の夕方より前の時刻、結は「聞かなければならないことがある」という理由で絹に会いに行く。それは、「なぜ絹が結を毛嫌いしているか」ということだった。そこで絹は結を地下牢へ連れて行き、絹が本当の母親ではないこと、佐一の子でもないこと、そして化物になった綾乃から生まれたことを知った。自死した理由はおそらくそこにあり、同日の夕方には結は踏切で自死する。
絹が倒れた理由
自分が病で長くないことを覚った絹は、毒を入れた血を綾乃に飲ませようとする。綾乃はそれを分かった上で飲み干し、何度も血を吐きながら動かなくなった。綾乃が死んだと思い、絹は地下牢で縄紐に首をかけ自死しようとする。ところが綾乃は死んでおらず、綾乃は絹を助け、配達員に絹が見つかるように道端に絹を置いた。結果的に絹は助からず、どのエンドでも死んでいることが分かる。
まとめ
まとめると、綾乃と絹の姉妹のうち、姉である綾乃は婿養子の佐一と婚約していたが、祝言を前に、佐一に恋をしていた絹が綾乃に葛藤をぶつけ、綾乃は山に置いていかれる。ひと月も真冬の山に置いて行かれた綾乃は"彼女"と融合し、化物となってしまう。最初は蔵で隔離されるにとどまったが、ある日下女を殺して食べてしまって以来、地下牢に幽閉されることとなる。久兵衛は綾乃を治すウツロを手に入れるも、綾乃の心が少しでも残っているならばと使うことができず、綾乃に食べられてしまう。その後、綾乃が9年間妊娠していた結が生まれ、佐一は結を連れて逃げた。結が20代になる頃には結婚し湊も生まれていた。結の独立を機に佐一は絹の屋敷に帰り、ウツロの存在を知るも、直後絹に殺されてしまう。結局、そのウツロを使うのは湊の役目となるのだった。
考察(ネタバレあり)
『ウツロマユ - Hollow Cocoon -』の考察をするならば、彼女の考察が必須だろう。
"彼女"とは何か、それは蚕という種の表現だと考える
蚕とは約5000年の歴史があり、養蚕されていくことで、蚕は人間の手がないと生きていけない種となってしまった。蚕は幼虫時、餌を食べ、やがて繭を形成し、繭から出てきて成虫へと羽化する。成虫には口がないので、羽化してからは卵を産んですぐに死んでしまう。ちなみに羽化してからは1週間から10日ほどしか生きられない。
そこで、「綾乃の心は人間そのもの」、そして"彼女"というのが「蚕」だと考えると、各エンディングは綺麗に繋がる。
「異形の末裔」エンドでは「人間」である綾乃の心は残っており、ウツロは使われていない。よって、蚕に必要な人間である綾乃の心は生きており、「蚕」である"彼女”が生き続けられたのだ。
一方「繭姫」エンドでは「人間」である綾乃の心は消え、化物(蚕)のみとなってしまった。蚕は人間がいないと生きていけないため、蚕は次の人間を欲する。よって最後に、湊は化物に襲われ、融合してしまったと考えるのが妥当だろう。
以上が、普通の考察だ。しかしこれでは普通だ、普通すぎる。だから筆者はもう1つ考察した。
彼女はかぐや姫
そうだ、UFOエンドからできる考察はこれしかない。オカルト研究会の湊が喜んでさらわれてしまったUFOエンドだが、その時の綾乃は、まるで面識があるかのように、襲い掛かることもせず湊を見送った。それは、"彼女"と呼ばれる、融合したものはかぐや姫であり、かぐや姫は、UFOが敵ではなく、もといた月の人々だと分かっていたから見送ったのだ。その証拠に、特に装備させたわけでもないのに、綾乃はアルミホイル帽を被っていた。これは動かぬエビデンス。月にさらわれた湊はかぐや姫の孫。大事にされるに違いないのだ。よかったな湊。
感想レビュー(ネタバレあり)
ホラーアドベンチャーとしてレベル高すぎだろ!
本当によくできた作品だった。考察、解説の当記事も1日がかりでなんとか作ることができた。インディーホラーのレベルを相対的に1桁上げてしまったようなゲームと言えるだろう。1980年代という、携帯電話もない時代で、山奥の村の屋敷内で起こる闇の深すぎる事件。ゲームが始まるまでの背景ストーリーは2世代にもわたり、時間をかけて作られたことがよく伝わってきた。そのため、解説や考察も頑張ってみようと、手記などの情報を整理して考えてみた。実際その時間は充実したもので、自分がなぜホラーが好きかを考えさせられた。ホラーというジャンルは、映画でもゲームでも難しい。普通のアドベンチャーと比べて、ストーリーが面白いだけでは足らず、プレイヤーに恐怖を与えなければならないからだ。本作は、いわゆるジャンプスケアで突然驚かせてくるような描写は少なく、どちらかというと、物語が進むごとに垣間見える、手記などによる断片的な世界背景を知っていくことでゾッとして恐怖を感じるのだ。クリアしたあともここまで楽しめるのは、開発者が頑張ったたまものだ。筆者は遊んだだけ。しかし良いものというのは、こうやってゲームの考察記事を書いている人が広めたくなるものだから、自然に広がっていく。あぁ、人類はこうやって発展してきたのだなと考えると、人類が積み上げてきた約200万年の歴史が愛おしく思えてくる。いや、何を言ってるんだ。ちゃんと感想を言おう。UFOエンドクッソ面白かったです。
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