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【The Kidnap | 誘拐事件 考察】安定の和風サイコホラー【感想・レビュー】

ひろてく

ゲームの考察・感想レビューのブログやってます。 ストーリー性強い作品が好きで、最近は「ホラー」や「アドベンチャー」のジャンルが多めです。 YouTubeで実況もしてるのでそちらも是非。

本記事では、全エンディングを回収した筆者が

前半ではゲームの概要から魅力、このゲーム買うべき?をご紹介

後半ではネタバレありの感想レビュー・全エンド考察パートを設けています。

既プレイの方も未プレイの方も是非ご覧ください。

※本記事には一部恐怖画像やグロテスクな表現が含まれています。苦手な方はご注意ください。

『The Kidnap | 誘拐事件 考察』とは?

インフォメーション

開発 / 販売元Chilla's Art / Chilla's Art
対応機種Steam
価格Steam:¥1,200
ジャンルサイコホラー
プレイ人数1人
発売日2023年11月1日
インフォメーション

どんなゲーム?(ゲーム概要)

『The Kidnap | 誘拐事件』は
小学3年生のれんや君を取り巻くさまざまな危険が描かれる和風ホラーゲーム

一定の条件をクリアするとシーンが移っていくアドベンチャー形式でゲームが進行する。

マルチエンディング形式となっていて、特定の行動や選択をすることでエンディングが変わっていく。

本作のれんや君のまわりには危険がいっぱい。

お姉ちゃん、お母さん、おじさん、まさひろ君……etc。

グラフィックはあえて雑に作っているからこそ、なお恐怖を駆り立ててくるのだ。

本作は油断が一切できない。

何が敵なのか、自分の目で見極めよう。

本作の面白さ

和風ホラーの絶対的な雰囲気

なんだこのリアルに恐怖を感じる画像は……。

日本の田舎の生活の中で、起きたら嫌だな…ってことが自然に起こる。

何やら分からないものに追われて、殺されて、とかいうホラーではなく

普通の生活の中に潜む危険を描写してくる、嫌な…良いホラーだ。

リアルすぎる日本の学校生活

学校の中も歩き回ることができる。

クラスメイトとの楽しい会話を楽しみつつ

近所で起きている事件についての情報を仕入れよう。

誰のサイコホラー?

本作は、たった1人のサイコホラーではない。

誰が敵なのか、自分の目で見極めよう。

自分は小学3年生のれんや君なのだから。

ヤバい奴らを紹介するぜ

クラスに1人はいる奴。

名はきよみち。

なんだその写真を張ったような顔は。

ヤバイレベルが1つあがる。

たぶんこいつは友達を道具としか思っていない。

名はまさひろ。

下の選択肢を選んでみると…

ベクトルの違うヤバさ。

名はみつき。

後ろのれんや君と話しているのに、顔は前を向いている。

みつき君は誰と話しているのだ。

和ホラー好きだけど買うべき?

田舎で暮らした経験がある方には嫌なほど分かる、起きたら嫌だな…という要素が詰め込まれたホラーゲーム。

声優って感じの声をする人はほとんどおらず、覇気のないリアルな喋り方をする登場人物には気持ち悪さを感じずにはいられなかった。

日本のホラー映画にインスパイアされたとの説明もあるが、まったくその通りで、最初から最後までしっかり昭和っぽい和ホラーとなっている。

その手の映画が好きな方にも、ゲームが好きな方にもおすすめできる作品だ。

1200円で2時間ほどのボリュームなので、値段とのボリュームについては妥当かなという印象。

考察(全エンディング)(ネタバレあり)

『The Kidnap | 誘拐事件 考察』には全部で4つのエンディングが存在する。
各エンディングの到達方法、内容、考察そして最後に全体の考察をしていこう。

エンド1「Police here」

到達方法
誘拐された後に脱出しようとせず、布団をチェックして
「お姉ちゃんに従う」→「はい」
「本当に従う?」→「はい」
と選択することで到達できるエンディング

内容
おじさんは姉に頼まれて姉弟を誘拐し、誰にも何も起きないまま誘拐犯の家で暮らす。ところが2週間後、警察が訪ねてきておじさんは捕まってしまい、姉弟の身柄は再び母親に戻る。大好きな母と出会えた姉であったが、また母親はブチぎれて家を出て行ってしまう。姉はショックを受けた様子でゲームは終了する。

考察
母親の注意を引くために誘拐を頼んだ姉だった。おじさんはただの協力者だったが、おじさんは警察に逮捕されてしまう。母親にまたしても出ていかれてしまい振り出しに戻るバッドエンドだと言えよう。おじさんちょっとかわいそう、でも普通児童相談所に行くよね。

エンド2「Run to friend house」

到達方法
おじさんから逃げた際に
「けいじくんの家」または
「まさひろくんの家」
を選択することによって到達できるエンディング

内容
おいかけてくるおじさんを振り切り、友達の家に逃げ込む主人公のれんや君。そこからはエンド1と全く同じ内容になっていて、警察署から母親に身柄が移され、母親から散々愚痴を言われたあとに家につき、母親は家を出ていく。

考察
エンド1とほぼ同じのため考察することもないが、あえて言うなら、自動車を振り切る自転車スキルを持つれんや君はすごい。

エンド3「Run home」

到達方法
エンド2の選択肢の際
「左の道」を選択後、走って自宅までたどり着くことで見ることができるエンディングだ。

内容
おじさんのダッシュを振り切って無事家まで逃げたれんや君だったが、家の中に数十秒いたら暗転し、おじさんが連れ戻しにくるエンディング内容。

考察
2度も連れ去ってるんだから3回目だって余裕だよね。おじさん、そういうところすぐ覚えちゃうからさ。

エンド4「Bye」

到達方法
エンド3の逃走時、一番手前の家(こひめちゃんの家)に逃げ込むことで見られるエンディング。

内容
こひめちゃんの家に無事逃げ込んだれんや君。こひめちゃんのお母さんは施設の人らしく、姉弟は児童養護施設に保護されることとなった。シーンは児童養護施設に移り、一見、姉弟が仲良く暮らしているように見える。しかし、姉弟の会話中に自然に背景に移る母親が見え…その後当然のように母親は姉弟を連れ戻してしまう。普通に帰宅するかと思いきや、帰りの車の中で、母親は誘拐犯であるおじさんに矛先を向け、おじさんの自宅に突撃する。おじさんは草刈り中で鎌を持っており、ブチギレて体を押してきた母親を鎌で殺してしまう。姉は茫然とするが、主人公のれんや君は悪魔のような笑みを浮かべてゲームが終了する。

考察
れんや君視点ならば、間違いなくトゥルーエンドと言えるだろう。サイコな姉の行動理由となっていた母親が消え、姉に振り回されることもなくなり、ヤバすぎる母親本体もいなくなったのだ。おじさんは過去のトラウマのような事件を繰り返してしまったため、おじさんからすれば1番のバッドエンドと言えるだろうが、このゲームの主人公はれんや君と明記されている。これはハッピーエンドだと言えるのだ。

ところでどうでも良いが、おじさんの「さらお」という変わった名前、おそらく
さらう+おとこ
で「さらお」なのだろうなって思った。ちなみにピエロもさらおだろうが、ピエロはれんや君の夢の中のキャラなのかもしれない曖昧な描写なので実在はしないだろうと考えている。

全体的な考察

考察内容
「次のおじさんはれんや君」

ゲーム開始時に、おじさんこと「さらお」は、母親をハンマーで殺した経験があることが分かる。そこから歪んでしまったのだろうか、名前も知らぬ子どもたちに急に喋りかけてきて一緒にかくれんぼをしようとする。そこに付け込んだ姉のさきこはさらおに誘拐を頼み、さらおは姉弟を誘拐してしまう。どのエンディングをとってもさらおにとってのトゥルーエンドは存在せず、逆に主人公のれんや君には、諸悪の元凶である母親がいなくなるという特大トゥルーエンドが存在している。

本作から分かることは、幼少期に異常な経験をすると、大人になってもヤバい人間になるということ。トゥルーエンドの最後で、れんや君は悪魔のような笑みを浮かべている。これは、将来が歪むというフラグだろう。チラズアートさんの作品で続編というのはないので無いのだろうが、もし続編があるなら、次の「おじさん」はれんや君となるのだろう。

感想レビュー(ネタバレあり)

いままでさまざまなホラーゲームを遊び、ホラー映画を見てきた筆者の目線で考えても、本作は印象深い和ホラーだなという感想だった。
和ホラーといえば、昭和のVHSのような雑な映像に加えて、覇気のない声で登場人物がしゃべる不気味さが何よりの良ポイント。普通、ゲームや映画に出てくる登場人物は、「美麗グラフィック、張りのある聞き取りやすい声」というのが評価され、それが作品の重要な要素となってくる。ところがホラー作品はその要素の質が真逆の方がいい場合が多い。こんな田舎町の風景が最高のグラフィック品質で描かれ、お母さんがかわいい声をしていたらもうゲームがゲームオーバーだろう。それにしても全ての元凶が母親すぎた。姉は母に傾倒し、それ故におじさんが動き、それ故に警察でも児童相談所でも母親のもとへリバースしてしまう。れんや君の悪魔の微笑みの理由はまさにそれにある。れんや君目線だと、何一つ楽しそうなことがないからだ。ホラーはさまざまなテーマを与えてくれるが、本作から読み取るならば、ヤバい親をどうにもできない国のシステム、だとか、幼少時代のトラウマが歪んだ大人を作る、だとかになるんだろう。しかし筆者が1番気になったのは、大人になったまさひろ君だ。

関連リンク

◆『The Kidnap | 誘拐事件』のSteamストアページ
◆筆者がYouTubeで配信した『The Kidnap | 誘拐事件』のアーカイブ動画
◆筆者のYouTubeチャンネル(記事が良かったら登録して応援お願いします!)

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