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『Mouthwashing』の考察・エンディング紹介・攻略・感想レビュー【マウスウォッシュ】

ひろてく

主にホラゲの考察や感想記事を書いてます。 ストーリー性の強い作品が好きで、たまに映画の感想記事も。

この記事では、『Mouthwashing(マウスウォッシング)』をクリア済の筆者が

◇前半ではゲームの概要から魅力・どんな人におすすめ?をご紹介

◇後半ではネタバレありの攻略・考察・エンディング紹介、感想レビューなどのパートを設けています

既プレイの方も未プレイの方も是非ご覧ください。

※本記事は恐怖画像や恐怖描写などの表現を含むため、苦手な方はご注意ください。

『Mouthwashing(マウスウォッシング)』の基本情報

開発 / 販売元Wrong Organ / CRITICAL REFLEX
対応機種Steam
価格Steam:¥1,500
ジャンルホラー / レトロ
プレイ人数1人
発売日2024年9月27日
コピーライト表記© 2024 Wrong Organ, CRITICAL REFLEX
ゲームインフォメーション

ゲーム概要

The Tulpar(タルパ)に所属する5人は、永遠の日没に包まれた何もない宇宙空間に取り残されてしまった。ここには、神の目も届かない。

(Steamストアページより引用)

どんなゲーム?あらすじ

『Mouthwashing』は一人称視点の
ホラーアドベンチャーゲームだ。

人類最後の有人宇宙貨物船タルパ号に乗る5人は、荷物を届けるために目的地を目指す。

荷物を届けるまでにかかる時間は1年超、そしてまだ147日しか経過していない日のこと、

タルパ号は、避けられるはずの小惑星と衝突し難破してしまう。

船長のカーリーは全身の皮膚にやけどを負い、四肢は手首足首から先がなくなってしまっていた。

船長のカーリーはなぜそんなことをしたのか。

限られた物資で、いつまで、誰が最後まで生き残るのか?

良質なホラーのストーリーがあなたを待っている。

本作の魅力

絶望の底の絶望

事故に遭った船長。生きている。

タルパ号は、手動操縦に切り替えて小惑星を避けていれば難破することはなかった。

悲しいことに、事故を起こした船長は大けがを負い動けず、常に手当が必要な状態。

そして空気は6カ月、食糧はあと4カ月しか持たない究極の状態で

5人は次々と残酷な現実を突きつけられ、次第に狂っていってしまう。

それが悪夢なのか現実なのか、あなたの目で確かめてみてほしい。

ローポリホラーの傑作

本作は発売からわずか約1ヵ月で、Steamでは約4600件のユーザーレビューがつき、内95%以上が肯定的な評価をした「圧倒的好評」のレビューステータスを誇る傑作インディーホラーゲームだ。

現実の我々の技術よりも圧倒的に未来の文明レベルなのに、なぜかストーリーは妙に人間味が強いというギャップが魅力的。

皆の精神が崩れる音が聞こえる

輸送の残日数は240日以上、ところが食糧は120日しか持たない。

経過日数は147日なので、輸送の出発地点から今いる場所まで追いかけたとしても食糧は持たない。

絶望的な船長の状態、食糧、空気、次第にピリピリしていく人間関係。

船が壊れると、次に壊れていくのは人間の心なのである。

どんな人にオススメのゲーム?

どんな人におすすめ?

  • 絶望的なサバイバルストーリーのホラーゲームが好きな方
  • サイコホラーが好きな方
  • レトロホラーが好きな方

『Mouthwashing』は、状況的に生き残ることが絶望的なサバイバルストーリーのホラーアドベンチャーゲームだ。ゲーム性としてはウォーキングシミュレーターに近く、たまにミニゲームがあるぐらい。サバイバルストーリーが好きな方は絶対ハマる、間違いない。ほかにも、次第に狂っていく乗組員たちの心理描写はサイコホラーそのもので、極限の状態で人間の感情が移り変わっていく様が好きな方にも刺さることだろう。画質は最近流行りのレトロなものとなっているので、レトロ感が好きな方にもたまらない作品だ。ボリュームについては、値段は1500円で、筆者は3時間弱もストーリーを見ながら楽しめたので十分満足感があった。東宝シネマズでは、大人でレイトショーだと同じく1500円かかる。本作はウォーキングシミュレーターに近いので、映画感覚で、レイトショーを見るような感覚で買ってみるのもいいかもしれない。

下記パートからネタバレ注意

◆攻略:分かりづらいミニゲームの攻略情報

本作は「審判まで8時間」の段階で、広い倉庫のような場所を歩くミニゲームが存在する。普通に歩いていると振り出しに戻され、筆者も攻略に困ったのでここに攻略方法を残しておこう。

メッセージの意味は少し分かりづらいが、要するに画面が揺れて見えない敵に襲われそうになったら
「動かないこと」が攻略方法だ。

少し進んでは画面が揺れるというのを繰り返すので少々面倒だが、その攻略方法でポニー人形がいる場所を目指そう。

ストーリー解説・エンディング紹介(ネタバレあり)

ストーリー解説

船員5人と膨大な量のマウスウォッシュを乗せた有人貨物船タルパ号は、出発から147日目に小惑星に衝突し難破した。事故の衝撃で船長のカーリーは全身の皮膚に大やけどを負い、さらに四肢の手首足首から先を失った。動けなくなったカーリーの変わりに、副操縦士だったジミーが船長を代理し、空気は6ヵ月、食糧は4ヵ月しか残っていない状態でのサバイバル生活が幕を開ける。新入りメカニックのダイスケ、熟練のメカニックのスウォンジー、看護師のアーニャ、主人公であり船長を代理する副操縦士のジミーの4人は、船長のカーリーを看病しながら、破損した船内でなんとか生き残ろうとする。
衝突から2ヵ月が経ち、4人は生きるため、開けてはいけない貨物に手を出すことになった。船長権限のコードスキャナーをかざし倉庫に入り、ダンボールを開けると中にあったのは大量のマウスウォッシュ。アルコール12%と糖分を含むため、メンバーは酒のようにマウスウォッシュを飲んで極限の状態を過ごしていた。
衝突から3ヵ月が経ち食糧も尽きかけた頃、緊急事態が発生する。アーニャがカーリーのいる医務室に立てこもってしまったのだ。ダイスケはアーニャが閉じ込められてしまったと思い、パニック状態でジミーに助けを求める。ダイスケの話によると、スウォンジーが立ち入り禁止にした部屋から医務室へ通じる通路があるらしく、ジミーは強烈なカクテルを作りスウォンジーに飲ませて気絶させることに。スウォンジーを突破し部屋に入ると、スウォンジーが泡だらけといっていた部屋に泡は少なく、まだ使えるコールドスリープマシンが1機残っていた。20年はコールドスリープして助けを待つことができる代物だ。
ゲームは回想をはさみ、衝突の1日前となる。カーリーの目線となって、アーニャの評価をする場面だったが、カーリーはアーニャがジミーの子どもを妊娠していることを知ってしまう。
時間はまた緊急事態の時に戻る。医務室を開けたダイスケは、スウォンジーの部屋から医務室までの通路で大けがを負い瀕死の状態となっていた。消毒のためマウスウォッシュを持ってくるジミーだったが、スウォンジーは苦しむダイスケのために、緊急用の斧でダイスケを楽にした。その後ジミーが医務室に行くと、カーリーは無事だったがアーニャはオーバードーズで自殺してしまっていた。ジミーはアーニャが保管していた銃を手にし、襲い掛かろうとしたスウォンジーを銃で手にかけた。ゲームはその後、カーリーの葛藤とトラウマの精神世界の描写が続き、ジミーは審判の時を迎える。
審判まで0時間、カーリーと2人になってしまったジミーは、自身の犯した罪への責任を取ろうと決心する。かろうじて動くカーリーを両手で抱え、ゲームはエンディングを迎える。

エンディング紹介

ジミーはカーリーを抱え、スウォンジーの部屋へ向かう。到着するなり、ジミーはカーリーを唯一使用可能なコールドスリープマシンに入れたのだった。すると視点はカーリーの目線となり、コールドスリープマシンが作動する。機内が凍り付いていく中で、責任を果たしたことにより安堵するジミーを見ながらエンドロールを迎える。その後どうなったのかなどは下記パートで詳しく考察していこう。

考察:カーリーを生かす理由 / エンディングの意味、可能性について / マウスウォッシング(ネタバレあり)

カーリーを生かす理由

事故を起こしたのはカーリーだと思われているのに、なぜ乗組員4名はカーリーを看病し、一緒に生き残ろうとしたか疑問に思っている方も多いことだろう。物語の序盤では、カーリーに疑問を抱いたアーシャに対して、ジミーはこう答えている。
「カーリーは俺たち全員を巻き添えにしようとした」「だから今カーリーを生かす理由が2つある。」と言って、さらに「重要なのは俺たち全員同意したってことだ」と述べている。そこからカーリーを生かす理由を考えてみよう。
1つ目は、文明レベルが高い世界で、全員を巻き込んで心中をしようとして生き残ったカーリーは、法の下で裁かれる必要があると皆が思うのは自然だろうから、「裁判にかけるため」だ。
では2つ目は何だろうか。さまざまな可能性が浮かぶが、全員が同意のもとで生かされている点を考えると、裁判にかけるためにも全員が生き残る必要があるので「生存率をあげるため」だということが考えられる。今見殺しにするよりも、皆が生き残る可能性を少しでも上げるために、元船長のスキルを何かしら使えないかと考えるのは自然な流れであるし、おそらくそうだろう。これは文明レベルが高いことが前提の考察である。

エンディングの意味、可能性について

自責の念に駆られたジミーは、最後にカーリーと2人きりになった状態でカーリーを1人用のコールドスリープマシンに入れた。アーニャを孕ませた「責任」、この事故を起こした「責任」、そして船長となった「責任」。それらの思考が常に頭を巡り、後半のジミーは狂いかけていた。ジミーが事故を起こしたのは、アーニャが身ごもった事実と、カーリー以外が解雇になるという事実を知ったことで絶望を味わったからだと考えられる。
経過時間が147日、そして残り輸送機関が約240日あった場合、捜索などの時間を考えても20年という期間は生存率を大きく上げる。事故にあったあとにコールドスリープマシンに入れられたことから、カーリーがやったことではないことが分かるし、元通り、ジミーが起こした事故を、死後ではあるがジミーが責任を取ることになるのだ。事故を起こした時点で間違いだったが、そうしてしまうほど絶望的な、ディストピアな世界だったのだろう。本作はあくまでも、ジミーが主人公なのである。

マウスウォッシング

難破した輸送船タルパ号が運んでいたものは大量のマウスウォッシュであった。マウスウォッシュは虫歯予防や口臭ケア用品だが、本当に本作のようなマウスウォッシュはあるのだろうか。少し気になったので調べてみると、実際にマウスウォッシュはアルコール度数10%~30%で存在するようだ。ただし、本作のように糖分が入っていることはないらしい。作中でも説明があるように、「糖分含有量が高いので、殺菌効果は期待できない」。現実世界でも口に含みやすいように甘くはなっているが、それは甘味料であり、本作のようなマウスウォッシュはただの甘いお酒に近いということが分かる。スウォンジーも喜んで飲むわけだ。もちろん、飲用ではないので読者の方は間違ってもマネしないように。

感想レビュー(ネタバレあり)

幸せだったとき

人類最後の有人宇宙貨物船が難破し、生き残ることが絶望的な状況でそれぞれのキャラクターたちの心理状況が細かく描写された、良質なホラーアドベンチャーゲームだった。ストーリーはサバイバルだが、実際のゲームは空腹の管理などは一切なく、ゲーム性はほぼウォーキングシミュレーターゲームに近い作品だ。もしサバイバルゲームになっていたらマウスウォッシュをたらふく飲むような危険な描写の続くゲームになってそうなので、ウォーキングシミュレーターで良かったように思う。

また、本作はストーリーの見せ方が非常にうまい。
時系列がバラバラでプレイヤーを混乱させつつ、最後にはジミーの責任の意味や、アーニャやスウォンジー、ダイスケの心理状況を細かく描写してくれる。例えるならば、原型の分からないパンのタネをたくさん散りばめられ、焼きあがると1つのストーリーのようになっているパンが出来上がったような感覚だ。全部食べられる。全部分かる。

個人的にはスウォンジーが大好きだ。生きるためには何だってやるし、今を楽しむし、後輩に仕事をしっかり教える。だが決して相手を信用しない。作中では1番人間らしい人物だったように思う。一方ジミーは取り返しのつかないことをしてしまった。責任の取り方がテーマになると思うが、実際ジミー以外はただの被害者なのでただただ可哀そうである。外の状況はよく分からないが、メンバーたちが解雇されることを知ったとたんに顔色が絶望色に変わったところを見ると、それは死刑宣告に近いものだったのかもしれないし、外はきっとディストピアとなっているのだろう。そんな世界でも、スウォンジーはダイスケに仕事を教え、ジミーとアーニャの間には子どもができ、船長と副船長はいつも悩んでいた。いくら技術の発達した未来的な世界でも、人と人との間に生まれる感情や関係は今の時代と何一つ変わらないことが感じられた作品であった。

関連リンク

◆『Mouthwashing』のSteamストアページ
◆筆者がYouTubeで実況投稿した配信のアーカイブ動画【Mouthwashing】宇宙で難破した5人のサバイバル怪奇ホラーゲームを遊んでみる
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