本記事では、エンディング到達済みの筆者が
◇前半では未プレイの方向けに、ネタバレなしでゲームの概要や魅力をご紹介し
◇後半は既プレイの方向けにネタバレありで、本作のストーリーについて解説、考察、感想レビューしています。
どんなゲームか知りたい方や、クリアしたけどゲームの世界についてもっと詳しく知りたい、考察が見たい、という方に向けて執筆しています。
『Laika: Aged Through Blood』の基本情報
開発 / 販売元 | Brainwash Gang / Headup Publishing |
対応機種 | Steam / PS5 / PS4 / Xbox Series X/S /Xbox one |
価格 | Steam:¥2,300 PS4, PS5 :¥2,310 Xbox Series X/S / Xbox one:¥2,350 |
ジャンル | メトロイドヴァニア / ガンアクション |
プレイ人数 | 1人 |
発売日 | 2023年10月19日(Steam版) |
※Switch版もリリース予定らしいが、本記事執筆時点でまだリリースされていない。(2024/2/15時点)
ゲーム概要(Steamストアページより引用)
西部の荒野を舞台に繰り広げられる"モーターヴァニア"。終末をむかえ荒野と化した世界で、侵略を受けている種族がいた。これはその種族、そして母親であり戦士でもあるコヨーテの果てしない復讐の物語。
どんなゲーム?
『Laika: Aged Through Blood』は
2Dのメトロイドヴァニアゲーム
コヨーテ戦闘一族の一人、「ライカ」が主人公の
敵勢力「バード」との戦いに明け暮れる、
高難易度ガンアクションが売りのゲームだ。
モーターヴァニアと自称しているだけあって、
拠点以外では常にバイクに乗っている。
また、本作は4年ほどかけて制作されており、
ゲーム開発の紆余曲折については下記の別パートで語るとしよう。
それでは本作の魅力についてお伝えしていこう。
本作の魅力
唯一無二のゲームシステム
バレットタイム
本作では「バレットタイム」のシステムが用いられている。
銃を構えている間だけ世界がスローになり、
1体の敵を撃った瞬間、スローの世界で次の敵に照準を向け、瞬時にまた倒す。
結果だけを見ると、
精確な射撃で、一瞬のうちに目の前の敵が全て倒されている、
という現実が目の前に広がることだろう。
※バレットタイムとは
もともと映画用語。多数のカメラを用いて、フレーム単位で別々のカメラの写真をつなげ動画化すること。
映画マトリックスなどで使われる撮影手法で「マシンガン撮影」とも呼ばれる。
ゲームでは、単にスローモーションの世界でキャラを操作するだけでも、バレットタイムと呼ばれている。
ガード
ライカのバイクは下面が無敵となっているため、
敵の銃弾を、ウィリーで持ち上げたバイクの下面でガードし、
ウィリー状態で敵を撃ち倒す、なんていうカッコよすぎるアクションが可能だ。
また、1回に限り、敵の弾を弾く「パリィ」システムもあるが、1回しか使えず、
それをチャージするには、空中で前に1回転しなければ再度使用することができない。
リロード
ライカが最初に手に入れる銃はハンドガンで、弾が最大2発しか込められない。
リロードの方法は、空中で逆1回転すること。
(スピンコックやスピンローディングなどと呼ばれる)
もしも敵が目の前に、同時に3体いたならば、攻略する方法は
バレットタイムの中、
ライカを回転させながら、同時に銃を撃つ、
すなわち空中で浮いた一瞬のうちに、
攻撃とリロード、そして敵の攻撃をガードしなければ通過できない。
※スピンコック・スピンローディングについて
ターミネーター2のシュワちゃんでおなじみ、ショットガンを1発撃ち、
ショットガン本体を1回転させてリロードするシーンは見たことがあるのではないだろうか。
ハンドガンでそれができるのかは詳しくないので分からないが、片腕が空く、というのが必須要素だからこうなったのだろう。
ゲームオーバーとデスペナ
本作はかなりの高難易度となっており、ライカに体力などはなく
敵の攻撃を受けると、ライカは即死する。
デスペナルティとして死んだ場所にお金を落とすという
ソウルライクな一面もあり、回収できなければ失われてしまうため、
慣れないうちは、常に金欠となることだろう。
「バレットタイム+ソウルライク+メトロイドヴァニア」
というゲームシステムは唯一無二と言っても過言ではない。
ハードボイルドすぎる世界とライカ
味方が死ぬのも
敵が死ぬのも
裏切りも当たり前。
極限の世界を強く生きるライカの姿は
最近のゲームにはなかなか見られないハードボイルドさを感じられることだろう。
最高のBGM
本作は、バイクで荒野を移動している間に、
手に入れたカセットがBGMとして流れる。
作中のキャラ「ベイコリ」という歌手が歌っている曲で、その歌声は綺麗で透き通っている。
ちなみにSpotifyでも聴くことができる。
「LAIKA : Aged Through Blood (Original Soundtrack)」で検索すると出てくる。
筆者は「The Last Tear」という曲が1番好き。透き通った女性の声が自然に耳に入る心地よさがある。
飛ばない鳥
鳥と言えば翼を自由にはためかせ、空を飛ぶイメージだ。
一方本作のバードは鳥なのだが、飛んでいるところを見たことがない。
鳥が人間化している、進化の途中なのだろうか、興味が尽きない存在だ。
メトロイドヴァニア好きだけど買うべき?
メトロイドヴァニアというジャンルを愛しているならば、遊んでほしい作品だ。
一方、難易度が高いのは事実で、筆者も最初は移動するだけでも何度も死んでしまっていた。移動のチュートリアルが終わって銃を手に入れてからは操作がさらに難しくなり、死ぬとデスペナルティでお金を失うのでストーリー進行において致命的な面もある。アクションが苦手な方にとっては、何度も同じ場所に繰り返し挑戦し、バレットタイムの中、決まった順番で敵を倒すという、ある意味作業的なものになってしまう可能性も否定できない。ところが、アクションに慣れると、この唯一無二の難しさはクセになる。移動だけでも難しく、攻撃、リロード、ガード、これらを、バレットタイムの中、初見の場所を1回でクリアでき始めると、自分の成長がとにかく嬉しく楽しい。高難易度でも挑戦してみたい、という方は買っても損はないだろう。
また、ストーリーもよく出来ているので、クリアしたあとでも、下記パートで解説や考察など楽しいコンテンツを揃えているので、是非また見てみてほしい。
本作ができるまでの歴史
ライカができるまで
LAIKAのファンサイトにて、本作ができるまでの歴史が長文に亘って記されている。
(しかも英語)
なので、このパートではそれを翻訳し要約してお伝えしよう。
開発のスタートは2019年1月だ。
最初はロケットの部品を集めてライカの兄弟と不毛の惑星から脱出する、なんていうものだったらしいから、今のライカを知っている人には驚きだろう。しかも初期のコンセプトアートのライカは人間の顔をしている。そこから開発が進み、パピーなどが加えられ、現在のライカのゲームに近づいていく。
2019年9月
開発のBrainwash GangがTwitterにて、スクリーンショットとともに、Laika: Aged Through Bloodの開発を公式に発表をした。このころからバレットタイムのシステムも導入されている。
2020年5月、バレットタイムのシステムが洗練され、さらに現在のライカに近づいていく。なお、作中には存在しないボスが紹介されている。グロくデカい青い3匹のバードのようで、ボスのグロさは現在のライカと通じるものがある。
2021年4月
最初のボスと戦うトレイラーがリリースされた。現在、その青い3匹のバードとは戦えないため、貴重なムービーシーンとなる。また、パピーを相手にしないとパピーが冷たく狂暴になる「愛情」システムもあったらしい。(正規版にはない)
さらに現在使用されている楽曲が、この時点で多数発表された。
2021年11月
Thunderful Gamesの子会社である「Headup Games」からパブリッシングの支援を受けたと発表し、Twitterにてトレイラームービーが公開された。当初、パブリッシャー発表では2022年リリースとのことだったがそれは叶わなかった。パブリッシャーの支援を経て、初期バージョンのマップやアセットの多くは廃棄され、ほとんどのキャラの性格やビジュアルなどが一新された。
2022年2月
流血岩の地など、現在のライカにもあるステージのコンセプトやプロトタイプのゲームプレイが開発Twitterにて公開される。
2023年6月
今のSteamトレイラームービーにならんでいるものが公開され、デモ版も一般公開される。ショットガンでエリア外にでるバグが発見されるも、次の2023年9月のデモ版にて修正される。
2023年10月
Steam、Epic Games Store、GOG.comにて正式リリースされる。Steamでは96%以上がオススメ評価する、圧倒的好評となり好調スタートとなった。
今後について
新しいコンテンツを製作中とは述べていないが、追加コンテンツの制作に関心があると開発者からコメントがあったらしい。
パブリッシャーに関して
Headup Gamesはもともとドイツのパブリッシング会社で、インディーゲーム開発者を支援するような会社だった。2021年3月にThunderful Gamesによって買収され、インディーゲームのパブリッシャーとして活躍しているようだ。
ちなみにパブリッシャーの親会社である「Thunderful Games」は筆者が大好きなゲームを多数パブリッシングしている。名作を掘り起こす天才的な会社だと思っている。場所はスウェーデンの会社。
筆者が好きな作品では
『プラネットオブラナ』『Viewfinder』『Wavetale』などがある。
さて、
次パートからはストーリーの解説や考察など、ネタバレを強く含むパートとなっている。
プレイ前にここまで読んでくださった方がいらっしゃれば、お礼を申し上げるとともに、クリア後にまた、下記パートを見に来ていただけると楽しいと思うのでそれをお伝えしていこう。
では
ネタバレありで解説していこう。
―未プレイの方向けパート終わり―
メインストーリーのまとめ解説(ネタバレあり)
※本パートにはグロテスクな表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。
ライカが属する村は、バードによって侵略を受けていた。ある日、主人公ライカの兄弟分ヤコブと、その息子プーチーがバードに捕まった。プーチーは自身の内臓ではりつけにされた上に惨殺され、ヤコブも重症を負い、ライカが敵の生体兵器を倒している間に帰らぬ人となってしまう。ライカは死んだ直後の人と会話できる能力、そして死んだら生き返る力、"呪い"を持っており、それを用いライカはヤコブと最後の会話をする。
その後、長老に言われ、勢力拡大のため、鉱山の一族の協力を得るためライカは鉱山に派遣された。ヤコブがいた場所とは別の生体兵器を倒すも、鉱山の一族はほぼ全滅していたことを知る。
次にライカはバードの勢力を少しでも削るため、バードの通信設備を破壊することに。波が死ぬ場所で通信設備を物理的に壊滅させ、また別の生体兵器を倒すライカだったが、そこで出会った協力者のロイをバードに殺されてしまう。
さらにバードの失意を狙うため、バードの象徴とも言われるビッグツリーを破壊しに行くこととなる。ビッグツリーに先に潜入していたオレラに情報をもらい、内部から徹底的にビッグツリーを柱から破壊した。最後に、頂上に君臨するバード「教皇アルバ8世」を倒すこともできたが、オレラはビッグツリーを芸術作品として崇拝していたがため、それを壊してしまったことによる自責の念により自死してしまう。ライカは呪いによって、オレラと最後の会話をする。
バードの通信網も、象徴を破壊しても、バードの勢いは増すばかりだった。長老や母親にキツく当たるライカだったが、直後パピーがいないことに気づく。異国語を話す者により、パピーは村の裏切者、ハーマンによってバードの町に連れ去られたことが分かる。ライカはバードの町、アンダーネストでパピーを探すことになった。
いままで散々カセットで聴いてきた歌声の持ち主、ベイコリが仲介してパピーをバードに献上していたことが分かる。ライカは最後にベイコリの歌を聴き、まだ近くにパピーがいることをベイコリから聞き出し、ベイコリその場で処刑した。パピーはバードに捕まっていたが、バード本部に献上される前にライカがなんとか救出する。その敵から、ライカ一族の呪いの血を、バードは進化のために欲していることを知る。
村に戻り、シャザの協力によって、バードの本拠地である浮遊都市の場所を突き止める。ライカは無事潜入し、バードの中の裏切り者を利用し、ラスボスのいる「天国」を目指した。ガスの上昇気流を利用して天国に向かうが、それは協力するフリをしたバードの差し金であった。ライカは上昇気流のもと、ラスボスである「双嘴の神」に捉えられ戦うことになる。
無事に倒すも、「エッグ」と呼ばれる原子爆弾のような兵器は、ライカの村の上空から投下された後であった。双嘴の神を倒した直後、ライカの呪いは子のパピーが初潮を迎えたことにより引き継がれ、ライカは死に戻りができなくなった。それでもライカは村のため、エッグを追いかけ飛び降り、持てるすべての力を振り絞ってエッグを攻撃し続け、空中で爆発させ村を守り、犠牲となった。
その後、ライカのヘルメットが添えられたライカの墓前で、ロウソクに火を灯すパピーの姿を最後に、エンドロールとなる。
エンディング解説・考察(ネタバレあり)
エンディング解説
解説記事なのでまずはエンディングついて解説しながら綴ろう。
バードとの最終決戦で、裏切られてでもラスボスを始末しに行ったライカは、ボスを倒した直後、タイミング悪くパピーに呪いが引き継がれ、ライカは呪いを失ってしまった。しかし死に戻りができない状況でも、一族に優しいライカは村のため、自分の命と引き換えにエッグを破壊した。ライカは死亡し、その後、パピーはライカの墓標のロウソクに火を灯すのだった。この描写の意味は、ライカが犠牲になったことを確定させる意味もあっただろうが、ライカが生前に言っていた「パピーに呪いが引き継がれる頃にはバードがいない世界にする」という約束が実現したことも意味していたのだろう。死に戻りは苦痛を伴うため、もうそんなことをしなくていいという、母親からの最後のプレゼントだったのだ。
ライカの血族に伝わる「呪い」とは?
ライカの一族の末裔に伝わる力で、死んだ直後の人と会話できたり、自分が死んでも直前のところで生き返る力がある。
呪いの力は、呪いの持ち主の娘が初潮を迎えることによって引き継がれ、引き継がれた後、持ち主は呪いの力を失う。
一方、その娘は初潮を迎える前に必ず発熱し、死の淵をさまようことになる。それを乗り越えた娘だけが呪いを引き継ぎ不死身となるが、本作ではパピーが呪いを引き継ぐまで、ライカは8人の娘を失っている。
娘はそれぞれ「ミラ」「カーリー」「イスラ」「アヴァ」「ブリサ」「カイラ」「アラニ」「アイリス」と名付けられていたが、これ以上娘に執着しないため、次の娘は単純に、子犬という意味の「パピー」という名前が付けられたらしい。
ちなみに死ぬときはちゃんと苦痛があるらしいので、喜ばしい能力ではない、まさに呪いなのだろう。
『LAIKA:Aged Through Blood』のタイトルの意味は?
直訳すると、「血を通して老いるライカ」という意味になるだろうか。
ファンサイトによると、もともと兄弟とロケット作りをして不毛の惑星を脱出するから、というのがタイトルの由来らしく、
血の意味は、「家族」という意味だったようだ。
ここからは考察となるが、開発過程で大きく設定が変わり、ライカの一族に伝わる呪いがテーマとなっていることから、タイトルのBloodの意味は「呪い」にシフトしたのだろうと考えられる。血に縛られた一族の話、というのは、まさに本作にピッタリのタイトルだ。
感想・レビュー(ネタバレあり)
2Dのモーターヴァニア!?トレイラームービーがカッコよすぎる……そんな感じで文字通り一目惚れして即買いしてしまった本作だったが、実際プレイしてもその期待が裏切られることはなかった。ウィリーしながらバイクの下面を向けてガードしつつ、そのまま敵を銃で撃ち抜くのは、とんでもなく難しいプレイなのだが、できると爽快感がこの上ないものだった。
ストーリーはハードボイルドを一貫しており、生ぬるい展開はほとんどない。大変な場面で仲間が助けにくることもないし、死ぬと苦しいはずの死に戻りを利用してでも敵をせん滅しようとするライカの姿はヒーローそのものだった。特に、生々しく描写されていた呪いの苦悩について、マヤやライカ、そしてパピーの面からと多方面で描写されていたので、世界観がよりしっかりとしていた。
一方、だれかに勧められるかというと高難易度すぎるため肯定的にはなれない面がある。筆者は高難易度ゲームに慣れているため詰まることもなかったのだが、実際アクションが苦手な方がクリアまでいけるかと問われると厳しいと言わざるを得ない。そこで、そういう時は筆者の実況プレイ動画だ。楽しく死にながら冒険している姿がそこにはある。もしプレイが難しいがゲームの様子が気になる、という方には、関連リンクの再生リストからご視聴いただけると完璧だ。筆者は高難易度ゲームで死ぬたびに笑うのだ。生粋のマゾヒストであることは間違いない。
という冗談はさて置いて、メトロイドヴァニア系の作品として評価するとなると、ボスがそこまで多くなく、どちらかというと連戦する雑魚との戦闘もメインだったりするので、一風変わっているということは間違いない。唯一無二のモーターヴァニアとしては傑作だと思うが、メトロイドヴァニアで「たくさんのボスと戦うこと」に重きを置いている方にはちょっと合わないところはあるかもしれない。よって「メトロイドヴァニア」のゲーム性として評価するならば、ボスが少なすぎる、ファストトラベルが充実していない、などの点から7/10点ほどになるだろうし、「モーターヴァニア」として評価するなら、まったく文句はなかったので10/10点としたい。
ところで、荒野のドライブ最高だったから、声なしのカセットBGMドライブ動画でも出そうか、と考えている今日この頃。良くない?
関連リンク
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