この記事では、全ENDクリア済の筆者が
◇前半ではゲームの概要から魅力・どんな人におすすめ?をご紹介
◇後半ではネタバレありの考察・全エンディング紹介、解説・感想レビューなどのパートを設けています
既プレイの方も未プレイの方も是非ご覧ください。
『The Bathhouse | 地獄銭湯 Restored Edition』の基本情報
開発 / 販売元 | Chilla's Art |
対応機種 | Steamのみ |
価格 | ¥980 |
ジャンル | ホラー / シミュレーション |
プレイ人数 | 1人 |
発売日 | 2024年8月10日 |
コピーライト表記 | The Bathhouse | 地獄銭湯, The Bathhouse | 地獄銭湯 Restored Edition © Chilla's Art, LLC® 2022 2024 All rights reserved. |
ゲーム概要
地獄銭湯リメイクは、銭湯で働くことをテーマにした和風ホラーゲームです。 オリジナルの地獄銭湯をフルリメイクしました。
(Steamストアページより引用)
どんなゲーム?
『The Bathhouse | 地獄銭湯 Restored Edition』は
3Dのホラーアドベンチャーゲーム
銭湯でバイトをすることになった主人公、まいなを操作して
個性的な客たちを相手にしながら、怪奇現象が起こる銭湯の仕事をこなしていこう。
本作は銭湯ワークのシミュレーションゲーム色も強く、ホラーとは関係ないところでゲームオーバーになることもしばしば。
ときには規則違反の客に帰ってもらったりして、銭湯の秩序を守っていこう。
また、ほとんどの客がヤバいので下記パートで
「ヤバい客トップ5」もまとめているので良かったら見てみてほしい。
ちなみに本作は2022年に発売した地獄銭湯のリメイクとなるのだが、
前作は進行不可能バグの原因が特定できなかったらしく、2023年に発売中止され、この度フルリメイクされ発売となった。
オリジナル版からの改良点はSteamストアページより下記の通り引用する。
本作の魅力
フルリメイク版
やっぱり嬉しいのは画質の向上か。
特に銭湯のグラフィックが美麗で、シミュレーションに没入できること間違いなしだ。
楽しい番台シミュレーション
田舎の銭湯が風評被害を受けそうなほど、個性的な客がたくさんくる。
規則を守らずに入浴を完了させてしまうとこちらの負け。
3回規則を破られるとその日をやり直しになるため、銭湯の巡回は常にしておこう。
マルチエンディング
本作はマルチエンディングとなる。2022年のオリジナル版からストーリーも一新され、エンディングも追加されている。
当記事ではエンディングから小ネタまで幅広く記事を書いているのでクリア後も楽しめるはずだ。
ぜひクリアしてからも見にきてほしい。
どんな人にオススメのゲーム?
どんな人におすすめ?
- 銭湯の番台シミュレーションに興味がある方
- 日本の妖怪伝承ホラーが好きな方
- チラズアートが好きな方
本作は日本の妖怪伝承をモチーフにした銭湯シミュレーションホラーゲームだ。ホラーといいつつ、番台のシミュレーションゲーム性が高く、ぼーっとしていたらすぐにゲームオーバーとなってしまうほど、ある程度の難易度がある。ヤバい客たちの相手、銭湯の清掃などをこなしつつ、毎晩、そして仕事中にも起こる怪奇現象を楽しみながら遊べる作品で、普通にプレイすれば4時間ほどで全エンディングを回収することができる。妖怪伝承ホラーが好きな方にはもちろん、登場人物には相変わらず気の抜けたチラズアート感のある声があてられているのでチラズアートの作品が好きな方は買って損はない楽しいゲームだ。
下記パートからネタバレ注意
ストーリー解説(ネタバレあり)
~銭湯の仕事開始までの流れ~
ある日、都会での仕事に疲れた主人公「まいな」に、銭湯とアパートを経営する人物から連絡が入った。その人物は、まいなに銭湯で働かないかと打診し、さらにアパートの一室も貸してくれると言う。都会が合わないと感じていたまいなは、田舎にあるというその銭湯で働くことを決意した。
~ゲーム開始から銭湯の地下室まで~
さっそく銭湯で働くこととなったまいなは、オーナーである大家から銭湯の仕事の仕方を学ぶ。番台での受付業務や銭湯内の清掃、ボイラーの管理など、忙しい業務が始まる。規則を守ってもらえなかったり、受付では暴言を吐かれたりと客から散々な目に遭うまいなだったが、まいなを悩ませたのは銭湯の仕事ではなかった。それは銭湯で多々起こる怪奇現象である。初日は大量のサルが、銭湯内で謎の死体を取り囲み騒いでいたり、業務終了後の時間に温泉に浸かっていると、反対側の湯から、従業員を名乗る謎の女性が話しかけてきたり、また別の日にはお客の1人が失神するように横たわり痙攣し、禍々しい黒い触手のようなものが台に根を張る怪奇現象を目撃し、まいなは気を失ったりした。連続する怪奇現象に嫌気がさし、遠回りに辞めたいことを大家に伝えるも、うまく話を流されてしまう。そして最終日である4日目の朝、仕事に行きたくないまいなに、近くの神社の神主が訪ねてくる。神主はまいなに、大家に見つからないように銭湯の地下にくるよう伝える。アパートを出ると、指名手配のポスターの指名手配犯、「とおる」に出会い、まいなは銭湯の地下室を目指すのだった。まいな大家の目を盗み、銭湯の地下室に到着すると、そこは牢獄のような一室だった。あるのは汚れた布団と、鎖の付いた手錠、トイレと洗面台だけ。壁の割れ目からハサミを見つけて、枕を切ると、中には手記が入っていた。手記には、懐胎した女性の、お腹の子どもを守るという強い意志が込められたメッセージが書かれていた。地下室をあらかた調べ終わると、ついに神主が登場して物語の真相を激白する。
~告げられたまいなの過去~
神主がまいなに告げた内容はこうだった。大家は昔、銭湯の仕事で雇った女性を気に入って、あろうことかこの地下室に監禁してしまった。女性は双子を妊娠していたが、女性はそこで双子を産み、出血多量で亡くなってしまったという。その後、大家は双子と亡くなった女性を見つけ、神主に相談する。神主は双子に「とおる」と「えれな」と名付けて児童養護施設に預けた。亡くなった女性の名前は「桜子(ようこ)」と言うらしく、まいなの本当の名前はえれなであることも告げられた。桜子は妖怪ウブメとなり大家に取り憑いていて、大家はウブメを祓うことを考えていた。どこで知ったのかは不明だが、やがて大家はウブメを祓う方法を知る。その方法は、「ウブメの子どもを、ウブメが死んだ歳と同じ歳に焼き殺す」というものであり、もうすぐウブメが死んだ歳の24歳になるえれなを、銭湯に招いたというワケだった。
ここから先は各エンディングで分岐するので下記エンディング紹介パートをご参照ください。
◆攻略:全エンディングの内容と分岐条件(ネタバレあり)
エンディング1
条件
1周目のストーリーを進めれば必ず見られる。
内容
地下室で神主から真実を告げられた後、銭湯を脱出しようとするも怪奇現象に襲われる。怪奇現象を追い払うミニゲームをクリア後、大家がしつこく追ってくる。えれなはアパートの202号室、自分の部屋に逃げ込むも、大家はドアの前におり、ウブメの力を使い侵入しえれなを捕まえてしまう。意識がもうろうとする中、アパートから銭湯のボイラー室に引きずられていく様子が長時間見せられ、やがてえれなはボイラーの燃焼室に放りこまれ、焼き殺されてしまう。
備考
最初に見られるバッドエンド。ボイラーの燃焼室から桜子のブレスレットが見つかったので、えれなの母親桜子も死亡後、同じ場所で焼かれたことが推測できる。
エンディング2
条件
2週目の4日目(1日目からやり直す必要はない)に、とおるから名前を聞かれた際に「えれな」です。と答えとおるから102号室の鍵をもらい、銭湯から脱出して大家から逃げる際に、102号室に逃げ込むことでエンディング2がスタート。
内容
大家から追われとおるの部屋に逃げ込もうとするも、とおるは不在だった。再度銭湯のボイラー室まで引きずられるが、そこで大家はガソリンのようなものをとおるにかけられ燃やされる。えれなはとおるに運ばれ銭湯の前まで避難するが、とおるはえれなに別れを告げて火事になった銭湯の中へと進んでいく。その後警察沙汰となり、警視庁の取り調べを受ける中で、えれなはとおるの存在を忘れてしまっていた。
備考
バッドエンド2。こちらは2022年のオリジナル版のグッドエンドのような形である。前作では銭湯で消息不明となった姉のまいなを追った妹のえれなが、結果的にまいなのことや、なぜ銭湯に来たのかなどすべてを忘れてしまう、というのがグッドエンドになっていた。一方本作のエンディング2では、えれなはウブメのことなどは覚えて警察に話していたので、忘れたのはとおるについてのみだと思われる。ちなみにとおるが焼死したのでウブメは世の中に解き放たれてしまうため、バッドエンドである。
エンディング3
条件
エンディング2を達成後、へその緒を2種集めた上で、銭湯から脱出前の怪奇現象世界で桜子に会い、へその緒を2種類渡すことでエンディング3へ。タイルを集めたりと手順があるため、詳細はゲームエイトの攻略情報を見てもらったら早い。
内容
桜子にへその緒を渡して怪奇現象の世界から目覚めると、神主と大家のバトルが始まる。神主が勝利し、舞台は後日の神社へ。神社では神主が見てきたこれまでのことと反省を聞き、その後とおるもまた自分のエンディング2でなそうとしていたことの過ちに気づいたことを打ち明けた。その後、とおるは少し離れた田舎に住んでおり、えれなも一緒に住まないかと提案し、えれなはとおると一緒に暮らすことに。とおるが運転する車にえれなが乗り、とおるの暮らす別の田舎へとドライブしながらエンドロールとなる。
備考
2022年のオリジナル版にはなかったトゥルーエンド。とおるの存在自体が新キャラなのだが、今のチラズアートらしい、綺麗なまとめ方にしたなと思う。新幹線0号で見られた兄弟愛がここでも描かれている。
◆考察:他のウブメたちについて / あの焼き芋人間の正体は? / 主人公の父親は? / 指名手配ポスター /舞台は?(ネタバレあり)
考察①:登場するウブメは1人ではない
本作では登場するウブメが1人ではない可能性を考察できる。
1人目はこの
えれなが遭遇した親子のお客。一見、普通の親子に思えるが、この子どもは突然現れたり消えたりと、人間ではないことが分かる。この女性はまるで自分が子ども連れのように怒鳴っていたが、その日の夜この子どもが業務時間外に現れ、「お母さんなんていない」と伝えてくる。つまり、自分の子ではない子を子どもとして連れているのだ(しかも幽霊)。ウブメの伝承は日本全国に及ぶが、地域によっては、他人の子を自分のものと思うウブメもいるそうだ。この女性は、桜子に引き寄せられて集まった別のウブメであることが考えられる。
次にもう1人のウブメについて
銭湯に入場した際に、お腹を膨らませていたこの女性。あろうことか銭湯内で出産し、えれなに見つかると、謎の言葉を口走る。
「あいつのせいで!」
「何でこんな目に!」
「彼女の思い…引っ張られる…」
と言うのだ。この女性は普通の人間とは思えないしおそらくウブメだろう。また、上記の2人目のウブメやこの女性を見て分かる通り、ウブメ同士は引かれ合う。ウブメは1人ではないのだ。
考察②:あの焼き芋人間の正体は?
4日目に突然現れる芋次郎。謎のクイズを出題してくる焼き芋売りだ。そのクイズの内容から、芋次郎は本作のストーリーを分かりやすく形にしたメタファー的存在なのだと分かる。
芋次郎の横柄な言動は、いわば敵側である(大家)。そして焼かれているのが芋で、芋は主人公一家である。芋は長い根を張ることで知られていて、あの長い根は桜子のウブメパワーにも思えるし、作中では桜子もえれなも、とおるも焼かれているのも分かりやすいだろうか。一方、トゥルーエンド、すなわちクイズ(へその緒)に正解すると敵(芋次郎)は消え、焼き芋だけが残る、すなわち主人公たちは助かるということだ。この芋次郎と屋台はストーリーを凝縮した存在だと言えるだろう。
考察③:主人公の父親は誰?
主人公の母親は桜子であるが、父親は誰だろうか?
最初は大家かとも思ったが、神主の話では、大家は桜子を地下室に閉じ込めたのに、懐胎していることを知らなかったと言っていた。桜子の腹部が膨らんでいることにすら気づかなかったということは、大家が父親である可能性は低いと考えられる。何より大家が「とおる」と似ていない。全然似てない。
そこで、怪しいのはバイト初日の怪奇現象で見た、サルたちに囲まれて亡くなっていた男性だ。ウブメの力が及んでいたことも考えると、ウブメと関係がある人物で、かつ恨まれている存在だとしたら、自分と子どもを捨てた存在である、えれなととおるの父親ではないだろうか。
考察④:指名手配犯ポスターは誰がなぜ貼った?
このポスター、よく見たら警察が貼ったものではなく、なぜか獄不動産という不動産会社が貼っている。
えれなの住むアパートにも「入居者募集 獄不動産」と書いている通り、あの大家がこのポスターを貼ったことは一目瞭然だ。さらに、なぜ貼ったのかというとそれは、大家は自分に取り憑いた桜子、ウブメを祓うため、ウブメの子であるとおるかえれなを、24歳になった時点で焼き殺す必要があったからだ。おそらく、えれなを見つけるより前に大家がポスターを張り、自分に取り憑いた桜子を祓うのが目的だったと分かる。えれなを見つけてもポスターを剝がさなかったのは、万が一の保険だったのだろう、大家汚い。ちなみに、この目的についてはストーリー解説で解説しているので分からなければそちらを見てもらうと分かりやすいだろう。
考察⑤:このゲームの舞台は東京都
筆者は本作をプレイしていて、お客の中には関西弁のような言葉を話す客が複数おり、舞台は関西なのかと思っていたが、エンディング2で舞台が東京都だと判明した。なぜなら、警視庁が登場したからだ。そもそも警視庁とは東京都の都警のことであり、管轄は基本的には東京都内となる。他県の田舎の放火事件ぐらいで、別の県まで行って捜査することなどまずありえないので、舞台は東京都ということになる。しかし作者がそんなことを知っていたか、意識したのかは正直不明であるし、正直どうでもいいことである。
ヤバイ客トップ5
※ウブメたちは除く
5位
新しい番台を見て突然この暴言である。これが5位というのが獄の湯のレベルの高さを物語る。
4位
瞳孔を開いたままセクハラしてきたのでランクイン。たぶんインナーも着てない。
3位
7歳未満と偽り女湯に入ろうとする変態。銭湯楽しみアピールが強かったのも加点対象だ。
2位
インディーホラーでよく出てくる、霊能力者系の人。同意なしで手を握ってきたのでランクイン。
1位
もはや誰も異論はないだろう。てかお前絶対教祖だろ。
小ネタ(ネタバレあり)
主人公のおばあちゃん
なぜかお客ではなく"松野"と名前の表示されるこの女性。ボイラーの燃焼室から出てきたブレスレットを娘の桜子のものだと言う。もちろん彼女の言う桜子とは主人公えれなの母親であり、この女性は主人公のおばあちゃんということになる。
2日目の風太の居場所
初日に出会う風太は、2日目にも出会うことができる。
2日目の仕事が始まってすぐ男湯のトイレに行くと怯えて隠れているのですぐに見つけることができる。
風太だけ出番が1日多いので風太ファンは歓喜。
感想レビュー(ネタバレあり)
2022年のオリジナル版からフルリメイクされ、さらに面白くなった本作。新キャラクターが追加され、前作では裏の悪役だった神主が完全に正義側にいて、大家1人が悪役となっていた。最後に見せられる神主と大家の物理的なバトルは大迫力で、もはや本作がホラーということを忘れ、口をぽかーんと開けて魅入ってしまっていた。ウブメのことを忘れそうになるが、妖怪モノのホラーとしても悪くはなかったかなという印象だったし、主人公のおばあちゃんがウブメから攻撃受けていた演出なんかは中々怖かったので良ホラーに入ると評価できる。
また、ストーリーの運び方も良かったかなと思う。バッドを先に見たプレイヤーは良いエンディングを求めてプレイしてくれるが、先にグッドエンドを見たプレイヤーは、わざわざバッドを見るためにプレイしてくれないので、このやり方なら多くのプレイヤーが最後まで遊んでくれるだろうなと思った。今後こういうのが主流になっていくのだろうか。個人的にはありだと思う。
でもやっぱりチラズアートの良さは、登場する人間のキャラクターたちにあると思う。正直ストーリーはよくある妖怪もののホラーだけど、本作をチラズアートの作品たらしめたのは、個性的すぎる客たちだ。この客たちが、よくあるインディーホラーのNPCだったら、面白さやチラズアート感は激減していたように思う。これからも、チラズアートを遊びたくなる理由は、もっとヤバそうな怖い人間たちに会えるのでは、というわくわくだ。今回はリメイクだったが、また次回も新作が出たら、登場するキャラクターたちに焦点を当てていきたいと思う。
ちなみに筆者が本作で1番好きなのは
風太だ。
関連リンク
◆『The Bathhouse | 地獄銭湯 Restored Edition』のSteamストアページ
◆筆者がYouTubeで実況投稿した動画のリンク【地獄銭湯】あの作品が新ストーリー追加で完全リメイクされたらしい【The Bathhouse Restored Edition】
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