本記事では、クリアプレイ済の筆者が
◇前半ではゲームの概要から魅力・このゲーム買うべき?をご紹介
◇後半ではネタバレありの感想レビュー・考察・全エンディング紹介パートを設けています
既プレイの方も未プレイの方も是非ご覧ください。
※本記事は恐怖画像や恐怖描写、自殺などの表現を含むため、苦手な方はご注意ください。
『Himantolo』の基本情報
開発 / 販売元 | Jinch |
対応機種 | Steam |
価格 | ¥350 |
ジャンル | ホラー |
プレイ人数 | 1人 |
発売日 | 2024年4月15日 |
ゲーム概要
頭を怪我した少女は病院で消えた彼女の友人を探し回ります。
(Steamストアページより引用)
どんなゲーム?
『Himantolo』は2Dポイントアンドクリック型の
ホラーアドベンチャーゲーム
ある日、事故で頭を怪我して入院した少女が
お見舞いにきて、その夜に消えてしまった友人を探すため
さまざまな心霊現象が起こる入院中の7階病棟を探検していくのが目的だ。
モノクロドットの味のある作風が特徴的で、ホラー描写も力が入っている。
本作の魅力
じっとり系のドットホラー
小さな女の子が恨めしそうにこちらを見ている……
じっとりと、しかし目の前で確実に怖いことが起きている。
洋ホラーは戦えることが多いが、こういったアジアンホラーは基本的に脅威対象への対抗手段がない。
(おそらく本作の開発は韓国)
ただ一方的に、じっくりと恐怖を味わおう。
オバケの種類が豊富
画像のオバケは1番かわいいのをチョイスした。
登場するオバケはかわいいものから、鳥肌が立つようなものまでラインナップに優れている。
会話できる相手もいたりするので
いろんなオバケを探してみよう。
マルチエンディング
本作は3つのエンディングが存在するマルチエンディング形式だ。
ホラーといえばマルチエンディングなところは正直あるが
たった350円という価格で2時間は余裕で遊べてしまうので、ボリュームという意味でこちらも大きな魅力となるだろう。
なお、筆者はエンディングのトリガーを誤解して2時間ほど無駄にした。
また、全エンディングの条件が知りたい方は下記のネタバレありパートを活用してほしい。
ドットホラー好きだけど買うべき?
買うべき。
本作はポイントアンドクリック形式のホラーで、値段はたったの350円だ。さらにエンディングを3つも作ってくれていたり、ホラー演出が怖かったりとボリュームも内容も良作の部類に入ることだろう。また、ジャンプスケアはほぼない。
リリース当初は、ベッドの上のライトを付けないと他の患者と会話ができないことがあったりと分かりづらい面もあったが、それもリリースから6日後でしっかり修正されていた。また、パズル要素も存在するが難易度は易し目なのでストレスはあまりなく問題ないだろう。ホラー描写はどれも味があり『Ib』のようなドットホラーと少し似た雰囲気を感じることもあった。こういったじっとり系のアジアンホラーが好きな方には刺さるだろうし、絵柄もかわいいので気になったら買って損はないだろう。
次のパートからはネタバレありなので注意
エンディング紹介(ネタバレあり)
エンディングの分岐条件
エンディングは4つの選択肢を選んだパターンによって3分岐する。
トリガーとなる選択肢は以下の4つ
- 702号室で釘を誰に刺すか
姉or妹or双方 - 705号室で刀をどちらに刺すか
部屋に入って左側の包帯男or入って右側のミイラ男か - 702号室の患者にどうやって薬を渡すか
きちんと説明して渡すor治療薬のことをだまして渡す - 手術室の患者のパズルをどう完成させるか
脳を完成させるor心臓を完成させるか
4つ目の選択肢については少し分かりづらいため画像を用意したので参考までに。
画像の状態まで解いて←Vというところをクリックで選択が完了となる。
→Rを押すとリセットになるので注意。
ENDING 1
条件
END2とEND3以外の選択肢の組み合わせで可能。確実にこのエンドを見たい場合は、釘を妹に刺せば必ず見ることができる。
4つの選択肢を終え、703号室のクマのぬいぐるみを蘇生すると女の子が現れる。会話後に外に出て707号室に入ると、何者かに羽交い絞めに遭っている人の姿が。その人曰く、自分はもう助からないがあなたは助かると言い、脱出のヒントを教えてくれる。707号室を出て704号室前に行くと化け物が襲い掛かろうとしてくる。チェイシングが始まったらヒントをもとに、1,2号室側からエレベーターに向かい、その後707号室を訪れ、さらにエレベーターに戻ると脱出しエンディングへ。
内容
病院から脱出したノアは、裸足で一人夜の道を歩く。その際にノアは
「私は後ろを振り向かずに走り続けた…」
「何かを忘れたような気がした。」
「しかし、幻聴も幻覚も出ない。」
「過去に何があったとしても…」
「私は前に進むよ。」
と言い、画面がブラックアウトする。
その後、ENDING 1「脱出」と表記が出てゲームは終了する。
一言
普通にプレイするとこちらのエンディングにたどり着くだろうとは思う。
考察などは下記パートで。
ENDING 2
条件
- 702号室で釘を「二つの人形ともに」刺す
- 705号室で刀を「部屋に入って右側のミイラ男」に刺す
- 702号室の患者に薬を「きちんと説明して渡す」
- 手術室の患者のパズルで心臓を完成させる
上記を選択した状態で703号室のクマのぬいぐるみから女の子を蘇生させ、707号室前の看護師に話しかける。その後また703号室に戻り女の子と会話し、705号室前の非常階段から脱出することでエンディング。
内容
病院を脱出すると、ノアと女の子の2人が一緒に夜の道を歩く。その後ナレーションで
「彼女が許してあげて私の罪が流された。」
「そして今、私は彼女と歩いている。」
「彼女と一緒なら…」
「もうこれ以上恐れることはない。」
と出て画面がブラックアウトする。
その後、ENDING 2「許す」と表記が出てゲームは終了する。
一言
ENDING 1より好き。でもどう考えても怖い。
トイレの幽霊が言っていた
「すべて現実的で理性的選択にした時」のエンドだと思われる。
こちらも考察は下記で。
ENDING 3
条件
- 702号室で釘を「姉の方の人形に」刺す
- 705号室で刀を「部屋に入って左側の包帯男」に刺す
- 702号室の患者に薬を「治療薬のことをだまして渡す」
- 手術室の患者のパズルで脳を完成させる
上記を選択した状態で703号室のクマのぬいぐるみから女の子を蘇生させ、707号室前の看護師に話しかける。その後、受付に行くとスタッフが元通りになっており、受付スタッフに話しかけることでエンディングへ。
内容
なぜか復活した受付スタッフに話しかけると、ゲーム冒頭で依頼をしていた「保護者への連絡」がついたと知らされる。その場で電話に出ると保護者から
「もしもし…?」
「ノアちゃんどうして病院にいるの…」
「困るよ。ノアちゃん。本当に。」
「はぁ…」
「他のことは考えないで。」
「私が明日そこに行くから…」
と言われ、病院のベッドで気持ちよさそうに寝ているノアが映され、画面はブラックアウトする。
その後、ENDING 3「直視」と表記が出てゲームは終了する。
一言
寝顔が癒される。
こちらはトイレの幽霊が言っていた
「夢想的で感性的選択にした時」のエンドだと思われる。
考察(ネタバレあり)
まずこの世界って何?夢?
本作には2つの出来事が絡んでいる。
1つ目は主人公ノアと友達イェウンの事故。
2つ目は魂詛(こんそ)と呼ばれる化物になった女性の事件だ。
1つ目の出来事はムービーや会話などから察するに
イェウンが13歳の頃、高い場所から落ちてしまった事故(おそらくこの病院で)についてノアが関わっており、イェウンはノアのせいで亡くなってしまったこと。ノアの人間性や言動から察するに事故の可能性が高そう。
また、イェウンのベッドの入院日だけが他の患者と違って10年前のものとなっていて、見た目も子供のままなので年齢が止まっていること=亡くなっていることが分かる。
2つ目の事件はロッカー室の資料や化物の発言から察するに
ENDING1のラスボスは魂蛆と呼ばれる化物であり、1人の子どもを希望に生きていた女性が、夫にその子供を殺され自殺してしまい化物となった姿だ(ロッカー室の資料より)。ちなみにその夫はシャワー室の幽霊であり、シャワーをかけた状態で話かけると「彼女が悪い」と言っているため確定だ。また、給湯室の資料やシャワー室の化物によると、魂蛆は精神的に弱っている人に近寄ってくる。取り憑かれると幻覚と幻聴を見て自殺してしまうらしい。
以上2つの出来事をまとめて
本ストーリーの内容を考察するとしたらこうだ
ノアは過去のイェウンとのトラウマから、幻覚や幻聴を患っていた(イェウンを生き返らせたときのセリフから)。ある日、頭を打って舞台となる病院に入院するが、そこはイェウンが亡くなった場所であり、魂蛆が取り憑く病院だった、というワケだ。
そこから各エンディングについて考察すると
ENDING1「脱出」について
脱出とはすなわち過去のトラウマについての「忘却」のことだ。
本人も「何かを忘れたような気がした」と言っているため、トラウマを封印したのだと思われる。なのでもう幻覚も幻聴もなくなった。
ENDING2「許す」について
許すとはすなわち、幻覚となったイェウンから許してもらうこと。こちらのエンディングを見るためには、4つの選択肢について、どれも理性的な、道徳的な答えを出したときにのみ見られるものなので、贖罪をしたことによって、過去のトラウマを清算したと思い込んでいるエンディングだ。しかし、幻覚となったイェウンが常に見えている状況なので、事態は何も好転していないし、おそらく症状は悪化していると考えられる。
ENDING3「直視」について
直視とはすなわち過去のトラウマと「向き合った」ということだろう。
幻覚である選択肢の患者たちに残酷な選択をしてきたときのみ見られるエンディングなので、簡単に言うと「幻覚を克服したエンド」と言える。ENDING3のムービーの最後のノアちゃんの満足気な顔を見てほしい、あれは幻覚に勝った強者の面構えだ。それ以降の描写はないが、おそらくもうノアちゃんは幻覚も幻聴もなくなるだろうし、イェウンとのトラウマについて克服していることだろう。
ENDING1にはフラッシュバックの危険性があるが、こちらのエンディングにはその危険性もない。ノアちゃんは最強になったのだ。まさにトゥルーエンドなのだ。
感想レビュー(ネタバレあり)
え、これ350円ですか?
頭を打ったノアちゃんと、飛び降りたイェウンの描写からミスリードを誘ったり、物語の途中で化物の素性が分かったりと、ホラーアドベンチャーの中でもなかなかストーリー展開がうまいなと思った作品だった。2つの出来事が交差していることによってプレイヤーは混乱するだろうし、逆にその内容が分かってくると怖くなってくる。この手のゲームは『Ib』などのようにドットホラーに分類されるが、そのジャンルは怖くするのに苦労するジャンルだと思っている。というのも、ドット絵でかわいらしさがあるのに怖くするには、その存在に対して怖いストーリーを追加せねばならないからだ。しかし本作は見事にプレイヤーに恐怖を感じさせてくれたので、ドットホラーの良作に入るだろう。これが350円というのは感謝しかない。個人的には600円ぐらいまではありかなと思った。
ここからは余談だが、筆者はエンディングを見つけるのに非常に苦労した。
というのもエンディングの分岐について、手術室のもの以外の3つは分かっていたのだが、最後の4つ目が心臓・脳パズルではなく
「トイレの幽霊にトイレットペーパーを渡すかどうか」だと思っていた。
そこを基準に、姉妹への釘刺しは3パータン全てやり、血の採決のための刀刺しも包帯男、ミイラ男どちらのパターンもやり、不安症患者への薬も説明して渡すのとだまして渡すの全てをやった。しかしある時、707号室前の看護師さんが「心臓か脳」と言っているのに気づき、パズルを凝視すると心臓の背景に脳を見つけたのだ。そう、トイレットペーパーではなかった。それに気づくまでに2時間以上を費やした。
しかしトイレで用を足していてトイレットペーパーがないと分かっている状況で、トイレットペーパーを渡さないなんて残酷すぎないか?もし次回作で分岐を作るときは、選択肢にトイレットペーパーを渡すをぜひ入れてほしい。
関連リンク
◆『Himantolo』のSteamストアページ
◆筆者がYouTubeで実況投稿した動画のリンク【ホラゲ】病院で消えた友人を探すホラーが湿度120%だった【Himantolo】
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