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『[Bober Bros] The Hole』の考察・全エンディング紹介・感想レビュー

ひろてく

主にホラゲの考察や感想記事を書いてます。 ストーリー性の強い作品が好きで、たまに映画の感想記事も。

本記事では、全エンドクリアプレイ済の筆者が

◇前半ではゲームの概要から魅力・このゲーム買うべき?をご紹介

◇後半ではネタバレありの考察・感想レビュー・エンディング紹介などのパートを設けています

既プレイの方も未プレイの方も是非ご覧ください。

※本記事は恐怖画像や恐怖描写などの表現を含むため、苦手な方はご注意ください。

『[Bober Bros] The Hole』の基本情報

開発 / 販売元BOBER BROS / BOBER BROS
対応機種Steam
価格¥350
ジャンルホラー / アドベンチャー
プレイ人数1人
発売日2024年12月6日
コピーライト表記© 2024 BOBER BROS
ゲームインフォメーション

ゲーム概要

[Bober Bros] The Holeは家庭生活のひびを探る一人称ホラーゲームです。隣人のドリルが悪夢を引き起こしますが、穴は壁より深い暗い秘密を暴きます。安い驚きではなく、心を乱す現実。

(Steamストアページより引用)

どんなゲーム?

『[Bober Bros] The Hole』は
短編のホラーアドベンチャーゲームだ。

ある日、主人公が家で楽しくビールを飲みながらテレビを見ていると、ドリルの轟音とともに部屋の壁に穴が空く。

壁の穴の向こうには、想像を絶する光景が広がっていた――。

前作『It's Just A Prank』のシリーズ作品であり、ヨハンやアガサなど前作のキャラクターたちも登場する。

前作の細かな伏線も回収されるので、前作が好きな方なら遊んで損はない作品だ。

伏線などについては下記のネタバレパートであますことなく紹介していこう。

本作の魅力

レトロホラー(PS2風)

本作はPS2風のレトロホラーゲームだ。

リアルな画質よりこのぐらい粗い画質の方が落ち着く、という方もいるのではないだろうか。

BOBER BROS

前作おなじみのキャラクターたちが登場する。

あのヤバイ少年ヨハンもしっかり登場するのでヨハンファンは必見のゲームだ。

抑圧的な雰囲気

本作は虐待など残酷な描写が、直接的にも間接的にも盛りだくさんに表現される。

これは本作の魅力でもあるし、苦手な方はもちろん遊ばない方が良い。

どんな人にオススメのゲーム?

どんな人におすすめ?

  • 開発[Bober Bros]が好きな方
  • 1時間ほどでクリアできる短編ホラーゲームが好きな方
  • 衝撃的な内容に耐性のある方

まさかのシリーズ化で驚きを隠せないが、本作はアガサを中心とした「It’s Just A Prank」シリーズの新作である。前作と同じ世界観でストーリーが展開されるため、Bober Brosのゲームの雰囲気が好きな方は間違いなく遊んだ方が良い。また、ゲームボリュームも前作同様40分~50分程度なので良短編ホラーゲームが好きな方にもオススメできる。もちろん本作はホラーゲームであり、ゲーム冒頭にも警告が出るが「衝撃的な内容」が盛りだくさんのため、その手のコンテンツに一定の耐性がある方にしかオススメできない。本作のシリアス感は前作を超えている。

下記パートからネタバレ注意

ストーリー・全エンディング紹介(ネタバレあり)

ストーリー紹介

大好きなビールを片手に見るテレビは格別だ。主人公の男性は自分の部屋でくつろいでいた。お気に入りのシリアルを食べ、お気に入りのカセットテープを聞いて、ゴミ袋をゴミ捨て場に捨てに行った。

ある日、ドリルの高速回転音が鳴り響いた。隣人を注意しに行くと、隣人は逆切れするばかりだった。とんだ災難だと思いつつも部屋に戻ると、テレビの横に小さなドリルの穴が空いていた。穴の向こうでは、女性の足とコインを無限に出し入れする映像が映し出されていた。のぞくのをやめると、不思議な事に壁の穴はさらに増えていた。次に穴の向こうをのぞき込むと、大人が子供を叱っている様子が影で見えた。主人公は気を取り直し、自分のペースに戻るためにお気に入りのシリアルを食べ、ゴミ袋をゴミ捨て場に捨てに行く。

部屋に戻りテレビを見ているとインターホンが鳴り、玄関前には少女アガサが笑って立っていた。彼女は遊んでほしいと言い、かくれんぼをすることになった。なぜか迷宮のようになったマンションの中を、ラジオの音を頼りに歩いていくと、見慣れたベッドと見慣れた穴が壁に空いていた。気が付くと、また自分の部屋にいる。そしてお気に入りのカセットプレイヤーが見つからない。家の中には大量のビールの空き缶が散らばっていた。とりあえずゴミ捨てに行こうとすると、また玄関にアガサがいた。一緒にゴミ捨てに行きたいようだ。ゴミ捨て場に行くまでに、主人公とアガサはそれぞれの家庭の話をしていた。アガサの父はビールを飲むと虐待するらしい。そして主人公も父親に虐待されたことを話した。

ゴミ捨てが終わると場面は変わり、ビールの空き缶だらけの自分の家の中にいた。隣人がドアを叩くので話をしに行くと、主人公が狂ったように叫んでいるのが聞こえたから来たというのだ。そういえば隣から聞こえていた女性の悲鳴がないのでその話をすると、隣人は「今はただ...静かなんだ。」と語るだけだった。再び部屋の穴ののぞくと、女性の足がぶらさがっていてテレビが砂嵐になっていた。

家の中はさらに散らかっていた。揺れていた。子どもがインターホンを鳴らして逃げ去っている。追いかけると、またもや迷宮のようになったマンションの廊下が続く。しばらく走り続けて子どもを追い詰めると、その子供は盗んだカセットプレイヤーを片手に笑っていた。直後視界が砂嵐となり、場面が変わって目の前にアガサが倒れていた。

自分のやったことを思い出したように、主人公は部屋を飛び出して見慣れない廊下を歩き続ける。同じ景色の廊下を何度も通り抜けていくと、テレビには享年の載ったアガサが映し出されていた。するとまた場面は移り、主人公は突然、のぞいていた穴の向こうにいた女性に追いかけられる。冷蔵庫やソファが邪魔する中をしばらく走り続けた。走り終わると、主人公は「女性に斧を振りかぶった誰か」を思い出した。

直後視界は移り、無限の廊下を、人生を後悔するかのように誰かと会話しながら歩き続ける男性の姿が見える。男性はアガサへの後悔を、自責と他責の念を交えながら、誰かと話すのだった。長い問答が終わると視界はバスルームに移り、主人公は自分の頭に銃を突きつけながら、エンディングへと突入する。

全エンディング

エンディングB

条件

画像のシーンで引き金を引く。

内容

結果は画像の通り。引き金は引かれ、男は結末を迎える。

備考

このエンドの後すぐに直前に戻ってくれるので、エンディング回収がすぐできる親切設計。

エンディングA

条件

エンディングBを迎えるシーンで引き金を引かずにずっと待つ。あとはシーンが移り替わるので流れのままに。

内容

引き金を引かずに待つとテレビの砂嵐のようなシーンを挟み、マトリョーシカのような見た目をしたアガサとアガサの父がいるシーンに移る。アガサは父と遊びたがっていたが取り合ってもらえず、何度も何度もビールを取りにいかされることに。3度ほどビールを運ぶとまた砂嵐の映像を挟み、画像のような不気味なアガサが大きく口を開けてエンドロールへ。短いエンドロールの後、開発者からプレイヤーに対して、下記のような虐待に関する長文のメッセージが贈られゲームは終了する。

備考

このメッセージを読む必要がある人が、このゲームを最後まで遊べるのか……?

考察:主人公と隣人の正体は? / アガサに何があった? / なぜヨハンがいた?(ネタバレあり)

主人公と隣人の正体は?

実は主人公も隣人も、アガサの父である。
テレビの横に空いていた穴は、よく見てみると隣の家からあけられたものではなく、テレビのある部屋の隣の部屋、つまり主人公の家の中であることが分かる。
また、隣人の声は前作でフィリップを脅迫していたアガサの父の声とソックリであり、穴の向こうではアガサの母に暴行し、最終的には斧で殺めてしまっている。一方主人公の音声は若かったので、アルコール中毒になっていく過程の、普通だった頃のアガサの父を表現したものだと思われる。つまり本作ではずっと、狂っていく自分を穴から見ていたのだ。

アガサに何があった?

アガサが倒れた描写があったが、それはビール好きでアルコール中毒となってしまった主人公、すなわちアガサの父がアガサに対して暴行していたことは明らかである。ちなみに前作でもアガサは父の話題になると表情がひどく陰るという細かい伏線的な演出があったが、本作ではアガサに虐待があったことが明確に演出されている。

なぜヨハンがいた?

前作ではアガサの父とヨハンはトラブっていた。どうもヨハンがアガサの父の弱みを言いふらしたことが原因だったようだが、おそらく妻を殺めてしまったことか、アガサへの虐待について言いふらしていたのだろう。また、ゲーム中盤で主人公がカセットプレイヤーがないと言って慌てていたが、それを盗んだ犯人はヨハンである。だからヨハンがいたのだ。
さらに、これも伏線がすごいなと思ったところなのだが、前作のゲーム冒頭でヨハンはフィリップとの会話でこう言っていた。

前作ではまったく回収されなかった伏線だけに、シリーズとしてしっかりとストーリーが作られていることが分かる。

小ネタ:開発「Bober Bros」の名前について

友情出演

開発の名前は「Bober Bros」、ボベルブロスと読む。
「Bober」とはポーランド語で「ビーバー」を意味し、前作でも本作でも友情出演してくれているこの子がボベルだ。
そしてBober Brosは日本語で「ビーバー兄弟」という意味となり、本作ではロックバンドとして登場している。

実は前作では、このボベルが物陰から飛び出てきてヨハンが大喜びしていた。

感想レビュー(ネタバレあり)

前作の『It's Just A Prank』とは別作品だと思わせておいて、しっかりシリーズもののゲームだった。テレビにビールでゴキゲンなスタートを切ったかと思いきや、実際に遊んでいくと主人公は妻殺しで娘のアガサを虐待していたことが分かる。本作は、そんな残忍な「事実を知らない主人公」としてのアガサの父と、「穴から客観的に見える隣人」としてのアガサの父、その双方を表現したレベルの高いインディーホラーゲーム作品だと評価できる。

ゲーム冒頭の「祖父についての話に基づいて」というテキストや、エンドロール中のサンクスの中の「そして祖父に」というテキスト、そしてエンドロールの強烈なメッセージを見ると、実際に虐待を受けたであろうことと、虐待に耐える必要はないから周りに助けを求めろ、というメッセージは強く伝わってきた。しかし虐待を受けている人間が、実際にこのゲームを最後まで遊べるのだろうか……というのが正直な感想だ。ちょっとズレている気がする。

そして何より驚きなのはこのシリーズはまだ続くということ。次回作は『[Bober Bros] Happy House』というタイトルでSteamストアページが存在している。今度は恐ろしい母親が登場し、プレイヤーは閉じ込められた子供を操作するそうだ。ストアページを見る感じ、今度はアガサの母に焦点を合わせた作品なのではないかと思っている。リリース日は未定だが、おそらく次の作品も隠された伏線が回収されるに違いない。個人的にこの開発は目が離せない開発の1つだ。次回はどのシーンにボベル君が出てくるだろうか。次回はどのヨハンの伏線が回収されるのだろうか。

前作『It's Just A Prank』の記事はこちら↓↓

関連リンク

◆『[Bober Bros] The Hole』のSteamストアページ
◆筆者がYouTubeで実況投稿した動画のリンク【The Hole】隣人がドリルで壁に穴を開けてくるホラゲ [Bober Bros]
◆筆者のYouTubeチャンネル(記事が良かったら登録して応援お願いします!)
◆前作『It's Just A Prank』の考察記事

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