ゲームレビュー

『Alessia's Dollhouse』の考察・感想レビュー・エンディング紹介

ひろてく

主にホラゲの考察や感想記事を書いてます。 ストーリー性の強い作品が好きで、たまに映画の感想記事も。

本記事では、クリアプレイ済の筆者が

◇前半ではゲームの概要から魅力・どんな人にオススメのゲーム?をご紹介

◇後半ではネタバレありの考察・感想レビュー・エンディング紹介などのパートを設けています

既プレイの方も未プレイの方も是非ご覧ください。

※本記事は恐怖画像や恐怖描写などの表現を含むため、苦手な方はご注意ください。

『Alessia's Dollhouse』の基本情報

開発 / 販売元Wasper Games / SKYFOSTER
対応機種Steam
価格¥580
ジャンルホラー
プレイ人数1人
発売日2024年7月11日
コピーライト表記© 2024 Wasper Games, SKYFOSTER
ゲームインフォメーション

ゲーム概要

真夜中の配達でドアを間違える…。あなたは呪われた人形館の壁の中に閉じ込められている。暗闇に隠された真実を暴き、この悪夢から生き延びる方法を見つけよう。

(Steamストアページより引用)

どんなゲーム?

『Alessia's Dollhouse』は一人称視点のサバイバルホラーゲーム

配達先を間違えたピザ屋の店員が、不気味な人形屋敷から脱出するのが目的だ。

入ってすぐの部屋で大金を見つけた主人公は、強欲にもそれを奪い、交換だと言わんばかりにピザを置いて屋敷を去ろうとする。

ところがそれは敵の仕掛けた罠で、主人公はまんまと引っかかり屋敷から出られなくなってしまう。

あまり同情できないピザ屋の店員を、出口に導こう。

本作の魅力

人形とホラー

人形とホラーというのは昔から鉄板の掛け合わせ。

日本人形や西洋のドール、マネキンなどホラーではおなじみのモチーフだ。

また、本作はドールの見た目から、ドールにまつわる設定までこだわって作られている。

おそらく実在する人物も参考にされており、詳細は考察で語ることにしよう。

多勢に無勢のサバイバル

本作に登場するドールたちは個性豊かな性格の持ち主ばかりだ。

追いかけてくる人形、見られている間に動くと襲い掛かってくる人形などなど。

それらは同時に襲ってくることも多々あり、難易度というより理不尽度は高め。

こだわりのアセット

インディーホラーではフリーアセットが頻繁に使いまわされるが、本作は違う。こだわり抜いて作られた人形屋敷は芸術とも思える作りとなっている。敵に追われてゆっくり見る暇はあまりないだろうが、余裕があればぜひ楽しんでみてほしい。

余談だが、今年のインディーホラーゲームでアセットにこだわりを感じた他の作品に
『11F』『FLATHEAD』などがある。
ストーリー内容も上質のものとなっているので、興味がある人はぜひ見てみてほしい。

どういう人におすすめのホラーゲーム?

  • 人形×ホラーが好きな人
  • 580円で2時間ぐらい遊べるコスパの良いホラーを探している人
  • 設定の凝ったインディーホラーが好きな人
  • 難し目のサバイバルホラーが好きな人

本作は値段のわりにストーリーやアセット、オチの秀逸さなどどれをとっても良質のインディーホラーと評価できる作品だ。一方サバイバル面や、次何をしたらいいかなどのガイド面がやや丁寧さに欠けるところもあり、クリアできない人も出てくるように思うので、チェイシング系のサバイバルが苦手な人はちょっと様子見でもいいかもしれない。また、機械翻訳だが日本語にも対応しているので言語の心配はご無用だ。

下記からネタバレありなので注意

エンディング紹介(ネタバレあり)

条件

人形屋敷をクリアし、病院を脱出し、洞窟にある祭壇の聖火(?)を消す。

内容

金に目がくらんで人形屋敷から出られなくなった主人公は、人形屋敷や病院を脱出すると祭壇にたどり着く。脱出の過程で、人形屋敷の主であるアレッシアにかけられた呪いを解くためには、火を消すことが必要だと知ったので、主人公は祭壇にある聖火っぽいものに自身の尿をかけ消火する。ところがそれは本物の聖火ではなく、奥に本物の聖火があることに気づいて、「間違った火だ!」と言ってアレッシアにさらわれる。さらわれた先は病院のオペ室で、主人公は意識を保ったまま、自身の体がミンチにされたことを認識する。その後、作中のICレコーダーの話で頻繁に出てくる"本"を持ったアレッシアと、教団の人物に儀式じみたことをされ、主人公が最初に出会った豚の人形の位置に移動し、豚の人形に迎えられ物語はバッドエンドとなる。
ちなみにそのエンディングの名は「ニュードール」。

考察(ネタバレあり)

考察①:ストーリー背景の詳細

ここでは、作中で見つかるICレコーダーや日記などの内容から人形屋敷が出来た理由や、なぜアレッシアがあんなことになってしまったかを考察していこう。
まず人形屋敷が出来た理由について。こちらは人形を愛していたアレッシアが設立したものだ。ゲーム冒頭で豚の人形に触るとアレッシアがテレビの取材に答えている会話から分かる内容である。
次にアレッシアが変貌した理由について。ICレコーダーで、「長年の夢だった本」と語っていることと、主語が「私たち」で複数形となっていることから、人形を愛するアレッシアとアレッシアの仲間が最初に登場することが分かる。彼らは、近くに古い寺院があり、その神殿には"魔法の本"があることを知る。そこまでしてほしい本ということは、おそらく「生きる人形の作り方」でも載っているという噂だったのだろうか。そのためにアレッシアたちは労働者を雇い寺院に隠された神殿を探すことになる。危険な掘削作業により事故も発生したことから敷地内に病院を作り、掘削が続けられ、ついに神殿を見つけることに成功する。魔法の本を見つけて歓喜するも、その本によると、人形を作るには生贄が必要だと知ってしまう。罪悪感から、彼らは犯罪者を素材にして人形を作ったようだ。さらに、日に日に本に呪われていくアレッシアを見て、ICレコーダーの主は恐怖し、その場所を脱出しようとするも諦め、せめてビデオに収めるためにビデオテープを用意した。
というところが本作のストーリー背景だ。エンディングで魔法の本を読んでいるアレッシアの背後に教団の人間っぽい人がいるので、おそらくその神殿には教徒がおり、アレッシアとその仲間は教団の罠にハマってしまった、というのが本作の話の裏だろうか。

考察②:豚の人形の正体

闇落ちするアレッシアに恐怖し逃げ出そうとするも失敗し、「僕も操り人形になるべきかな?」と言っていることから、豚の人形の正体は、ICレコーダーの声の主だと考察できる。また、アレッシアの作った人形たちとうまくいっていなかったことや、暗闇を嫌う豚の人形と、暗闇を好むドールたちの対比関係からも、豚の人形はICレコーダーの声の主だという材料になりうるだろう。ちなみに声の主は「金さえもらえれば」と言っていることから、金銭目的でアレッシアと志を共にするフリをして一緒に本を探していただけだったのかもしれない。

ドール紹介

ニーナ(NINA)

  • 材料:木、革、人骨(エリザベート・バートリー)
  • 特徴:連続殺人鬼のエリザベート・バートリーの体を生贄にして作られた人形。目を合わせている間は動かないが、視界にいない間は高速で接近してくる。
  • 備考:エリザベート・バートリーは実在する人物で、吸血鬼伝説のモデルともなった連続殺人鬼だ。拷問器具の鉄の処女で採取した血を浴びたりと、とんでもない残虐行為が言い伝えられている彼女だが、本作の人形屋敷の浴槽では血で満ちた浴槽に遺体が置いてある描写があったため、あれはエリザベート・バートリーの意思を引き継いだニーナの仕業ではないかと筆者は考えている。

ビッグシスター(BIGSIS)

  • 材料:木、革、アメリア・ブラックウッドの心臓、肺。
  • 特徴:作中のカルト教団の指導者を生贄にして作られた人形。目を合わせている間に動くと襲い掛かってくる。
  • 備考:身長は2.1メートル。彼女は実在した人物ではなさそうだ。

ヴェックス(VEX)

  • 材料:木、革、睾丸(ウラジミール・ペトロフ)
  • 特徴:夜の残虐者として知られる連続殺人犯を生贄にして作られた人形。突然現れて、しばらく主人公を追跡してくる。追いつかれたらゲームオーバー。
  • 備考:彼も実在した人物ではなさそうだ。追跡してくるときの声はスリラーが好きな人にはたまらないだろう必死さがある。

感想レビュー(ネタバレあり)

見送るドールたち

ゲームの世界観がしっかりした、今年の上位に入るレベルの良質なインディーホラーゲームだった。主人公はホラーでは警備員の次にベタなピザ屋の店員だが、バッドエンドでも特に悲しくならないほどの呆れた性格の持ち主で、プレイヤーを悲しくさせる感情移入はなくて潔くゲームを終了できる点も良かった。豚の人形はよほどドールたちに嫌われていたのだろうか、屋敷の電気を消すと手を振って見送ってくれるほど、実は良い人形たちだったのは面白い演出だった。

一方ゲームのサバイバル面やガイド面は、もう少し改善があればと願う。ビッグシスターに見つめられて動けない時に理不尽にも後ろから襲い掛かってくるニーナは文字通りムリゲーだったし、3時間目については何をすればいいのか分からなくなった人も多いのではないだろうか。ヒューズを探すときだけ謎のガイドが出ていたので、そこじゃないだろうというツッコミは入れたくなった。しかしゲーム全体のストーリーと舞台は完璧だったので、ゲーム性の問題ならば今後改善される可能性もあるだろう。

余談だが、たまにハードオフに行くと、筆者はドールのコーナーに目をやることがある。すると人形のように綺麗なドールがそこにはあって、心を奪われかけることがある。その時は頬を叩いてなんとか正気に戻るのだが、ハマる人がいるのも理解できるなと思った。もしかしたら筆者には素質があるかもしれないので、今後ハードオフに行ったときに魔法の本が出品されていたら、試しに買ってみようと思う。

関連リンク

◆『Alessia's Dollhouse』のSteamストアページ
◆筆者がYouTubeで実況投稿した動画のリンクピザの配達先を間違えてトンデモない人形屋敷に入っちゃうホラゲをプレイ【Alessia's Dollhouse】
◆筆者のYouTubeチャンネル(記事が良かったら登録して応援お願いします!)

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