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メトロイドヴァニア界の異端児?『Glimmer in Mirror』の感想・レビュー

ひろてく

ゲームの考察・感想レビューのブログやってます。 ストーリー性強い作品が好きで、最近は「ホラー」や「アドベンチャー」のジャンルが多めです。 YouTubeで実況もしてるのでそちらも是非。

Glimmer in Mirror(微光之鏡)とは?

インフォメーション

開発 / 販売元MapleDorm Games / 方块游戏(CubeGame), Pleasant Rain Ltd
対応機種Steamのみ
価格¥1,730
ジャンルメトロイドヴァニア / シューティング / かわいい
プレイ人数1人
発売日2023年1月10日(早期アクセスリリース日)

あらすじ(Steamストアページより引用)

何もない世界から目を覚ました少女の目の前に、そびえ立つ巨大な鏡が現れました。 鏡に映る美しい世界に魅せられた少女は、思わず鏡に手を伸ばしていた。 突然、鏡が砕け散り、鏡の中の美しい世界が一瞬にして崩れ去ってしまう。 再び目を覚ました時、彼女はすでに破壊された鏡の世界にいて、この世界に隠された知られざる真実は、彼女の冒険の中で徐々に明らかになっていきます。

どんなゲーム?

『Glimmer in Mirror』は、スキルが増えて探索できる場所が増えていく探索型、いわゆるメトロイドヴァニアゲーム。攻撃方法が遠距離のみなので、シューティングメトロイドヴァニアとも呼ばれている。2Dの横スクロールのメトロイドヴァニアで、隠しマップがあったり、ある程度自由に探索できる点は、ホロウナイトやORIなどのメトロイドヴァニアと同じシステムだ。

本作のストーリーを簡単に説明すると、無の世界から、割れた鏡の世界に入り込んでしまった主人公「キラ(青髪の女の子)」が帽子のレオと出会い、一緒にその世界を修復するという物語。

2023年1月10より早期アクセスでのリリースがされており、開発は中国のインディースタジオで、なんと処女作。開発いはく早期アクセス期間は1年ほどの予定らしい。驚くことに開発チームはたった3人で、しかも内2人はバイトなのだという。しかし4言語(日本語含む)に対応していたり、Steamコミュニティにてユーザーの声をしっかり聴いたりと開発に熱意を感じる開発だ。

では次に特徴を見ていこう。

本作の特徴

『Glimmer in Mirror』の最大の特徴は、何と言っても唯一無二の美しい世界の描写だ。

息をのむような鮮やかな世界が描写されており、遊んでいるのに、なぜか絵本を読んでいるかのような感覚に陥ってしまう。敵も味方も、世界も何もかもがこの絵本のようなグラフィックで描かれている。音楽も世界にあったファンタジーチックなものとなっていて世界観がしっかりしているので、ファンタジーの雰囲気が好きな方には間違いなく刺さるゲームだろう。本作が処女作で、しかもたった3人でゲームを作っていることに驚きを隠せない。

感想・レビュー

なぜ異端児なのか?

10時間弱のボリュームの戦闘モノの絵本を読んだことがあるだろうか?

本作がまさにそれだ。グラフィックからキャラの仕草まで何もかもに癒され、うっとりする感覚だった。メトロイドヴァニアを遊んでいるはずなのに、絵本を読んでいる感覚、これほど戦闘のことよりもストーリーが気になったメトロイドヴァニアは今までなかったように思う。
タイトル回収となるが、これまでのメトロイドヴァニアは戦闘がどれほど面白いかに重きを置かれていたので、戦闘の楽しさや探索のし易さなどが評価の基準となっていた。

一方、現時点(2023年7月26日)の本作のSteamのレビューステータスは「やや好評」となっており、高評価のレビューをのぞいてみると、皆が口をそろえてグラフィックと音楽とストーリー、つまり世界観が素晴らしいと評価しているのだ。世界観だけで「賛否両論」を超え、ポジティブステータスの「やや好評」を得たメトロイドヴァニアは、正直見たことがない。そこが異端児と言える理由なのだ。

さて、ここからは本作の戦闘面の評価をしていこうと思う。

メトロイドヴァニアゲームとしての評価

結論から言うと、戦闘の難易度はかなり低め。良く言えば遊びやすく、逆に高難易度のやりごたえのある戦闘を求めて買うか悩んでいる方にはオススメできない作品だ。

シューティングメトロイドヴァニアということで、遠距離戦が主となる本作。遠距離の戦闘は、一定の距離を取って戦うことになるため戦闘への緊張感が薄くなりがちだ。そこで本作は、精霊というサブウェポンを実装し、近くじゃないと精霊の攻撃が当たらないようにして、プレイヤーに高リスク高ダメージの緊張感ある闘いができるチャンスも提供している。もちろん、その精霊を使わずに、回復系の精霊を使うことで、戦闘が苦手な人への救済措置としても完備していて良いと思った。

本作、実は敵のAIがしっかりしていて、ボス戦はある程度ボスのパターンを把握しないと勝てないようになっている。しかし、主人公の操作感がとにかく悪いことが全てを台無しにしてしまっている。

ジャンプは押した時間で滞空時間が変わる、というものではなく、一度押したらジャンプの最高地点までジャンプしてしまうため、回避やダッシュもないので、ゆっくりジャンプして避ける姿はなんともアンバランス。敵の攻撃がしっかりしているだけに、惜しいと言わざるを得ない。

また、メトロイドヴァニア作品はヒットアンドアウェイをより楽しめるように、基本的に主人公のキャラの等身を低くしているが、本作の主人公は他の作品と比べてキャラが大きい。さらに、ゆっくりとジャンプしてしまうものだから戦闘の緊張感が感じられないし、仮にジャンプを改善したとしても、このキャラの大きさは戦闘面で足枷となるだろう。

同じくらいの等身のゲームで『Ender Lilies』や『Minoria』というメトロイドヴァニアの作品があるが、あちらではジャストガードなどで、キャラのデカさをカバーできるように工夫している。キャラがデカいと、一瞬の無敵回避などではボスの攻撃に対応できなくなるため、ゲーム作りの難易度が上がってしまうのだ。

しかし、ガードというのはメトロイドヴァニア界では諸刃の剣とも言える。ガードが簡単すぎると、ボスと距離を取る必要がなくなって単調になってしまうからだ。2Dのメトロイドヴァニアは特に難易度が下がるので、成功が難しいジャストガードなどで手を打っている印象だ。

また、本作はアクセス面も惜しい。
ファストトラベルは決まった場所からしかできず、さらにその地域限定のファストトラベルのため、地域を超えたファストトラベルが現状できない。ダッシュスキルもなく移動が遅いので、ここはしっかり改善できそうだと思った。

もちろん早期アクセスなので、この感想は既にSteamのコミュニティに投稿してフィードバックしている。まだ完成までに半年以上あるので、より良いゲームになってくれることを願う。

総評

『Glimmer in Mirror』は
Steamトレイラームービーで雰囲気が気に入った人へはオススメ、まさに遊ぶ絵本。
一方、戦闘を楽しみたい方にはオススメできない、まだまだ成長途中のゲームだと言えるだろう。

しかし世界観だけでポジティブステータスを得たメトロイドヴァニア界の異端児なので、完成時のリリースがとても楽しみだ。世界観が良く、戦闘も楽しければ間違いなくレビューステータスはさらに上がるだろう。翻訳がたまに変だったり、翻訳されていない箇所があったが、ユーザーの声をしっかり聴いているようなので、フィードバックで改善することを期待したい。

絵本の続きは、どんな展開なのだろうか。

関連リンク

◆『Glimmer in Mirror』の開発者Twitterアカウント
◆『Glimmer in Mirror』のSteamストアページ
◆筆者がYouTubeで実況した『Glimmer in Mirror』の再生リスト
◆筆者のYouTubeチャンネル

微光之镜 Glimmer in Mirror © 2023 MapleDorm Games, 方块游戏(CubeGame), Pleasant Rain Ltd

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