本記事では、クリアプレイ済の筆者が
◇前半ではゲームの概要から魅力・このゲーム買うべき?をご紹介
◇後半ではネタバレありの感想レビュー・考察・エンディング紹介パートを設けています
既プレイの方も未プレイの方も是非ご覧ください。
※本記事はホラーゲームの恐怖画像を含むため、苦手な方はご注意ください。
『11F』の基本情報
開発 / 販売元 | PUMPKIM |
対応機種 | Steam |
価格 | ¥1,000 |
ジャンル | ホラーアドベンチャー |
プレイ人数 | 1人 |
発売日 | 2024年4月19日 |
ポイント
(Steamストアページより引用)
どんなゲーム?
『11F』は
ウォーキングシミュレーターに近いホラーアドベンチャー
父の葬儀の後、知らぬ者から「ザ・オリジン」というビルを無料であげるという手紙を受け取る。
しかし実際にビルに到着すると、そこは怪奇現象がオンパレードの事故物件の塊のような建物だった。
手紙を差し出した人物を探すため、ないはずの11階を探そう。
本作の魅力
身の毛がよだつほどの本格派ホラー
インディーのホラーゲームにしてはゲームのアセットがどれも力入りすぎだろ!と叫んでしまうほど凝っている。
もちろん部屋のアセットだけではない。
各部屋の住民は「さまざまな方法」でプレイヤーのあなたに恐怖を与えるだろう。
現実描写と心霊現象のクロスオーバー
このビルではさまざまな現象が起こる。
それは何か現実での出来事に起因しているようにも思える。
ビルで何があったのか、ビルの住民に何があったのか、すべて解き明かそう。
ホラーの雰囲気良さそうだけど買うべき?
個人的には、近年のインディーホラーの中ではかなり上位のゲームだと評価している。
というのも、インディーホラーといえば大きな音や絵で脅かしてストーリーぶん投げで終わり、という作品が多い中、本作では脅かし系に加え、一見ただの怪奇現象だと思わせといてすべてに意味があり、後からじわじわ理解させられるという、2段構えの恐怖を仕掛けてくる。ゆえに本作は質の良いホラーゲームと評価していい。日本や韓国などの湿度高めのホラーが好きな方は買って損はないだろう。
次のパートからはエンド紹介や考察、感想レビューしていくのでネタバレ注意。
エンディング解説(ネタバレあり)
ゲーム全体のストーリーを簡単に解説してまとめていこう。
エンディングまでの経緯
父の葬儀の後、見知らぬ者から「ザ・オリジン」というビルを無償で譲渡するという証書と手紙を受け取り、主人公のアダムはビルを見に行くことに。すべての部屋で起こるさまざまな怪奇現象に遭いながら、7階のないはずの扉を、見知らぬ者のカメラで撮影することによって、11階に続く扉を具現化することに成功する。そこには「The Origin」というゲーム筐体があり、アダムは9階で発見したコインを使用し、エンディングへ。
エンディング内容
ゲームを始めると、なぜかアダムは劇場にいる。そこにはイスがぽつんと置かれており座ると、そのスクリーンを通して招待者とコンタクトすることになる。2択の質問に答える形式になっており、自分の思う答えの方を見ることで進行する。
その内容は「自転車を見てください。」というものから、だんだんと招待者とアダムの関連性が見えてくる内容になっていく。なんと、招待者の正体は主人公アダムの腹違いの兄弟だったというのだ。アダムの母は正妻であり、招待者の母は愛人であった。作家でお金持ちだった父は、招待者の母にビル「オリジン」を渡していた。招待者の母はアダムの父の家庭を壊さないためにビルで隠居生活をしていて、招待者もまた存在しないものとして育てられた。また、ビルに登場した「ヘンリー」「ハンス」「ダンスデール」はすべて招待者の仮の名であり、すべて招待者だったことも知らされる。そして招待者は11階のゴーストだと名乗った。すべての真実を知らされたあと、最初は知らないと答えさせられた「招待者の母を知っていますか?」という問いに知っていると思うと答えることで、アダムは招待者に襲われ、現実のゲーム筐体の前で倒れている自分をゴーストとなって上から見ることになる。その後、狼狽したゴースト状態のアダムは1階まで降りながら、招待者から「私はアダムとして残る」と言われ、入ることができなかったリサイクルルームに入り、ビルを1周するような4次元的な描写の後、炎の門のようなところを通ってゲームは終了となる。
考察(ネタバレあり)
エンディングの意味は?
愛人の子として、世俗から切り離され、存在しないものとして育った招待者だったが、そのフラストレーションはひとえに、普通の人として生きられないというものに起因しているようだった。最後はアダムの体を乗っ取り、自由な人生と手に入れたという意味で間違いないだろう。
アダムの魂はどうなった?
アダムは地獄に行ったと考える。
アダムがゴーストになって階段を下りているとき、招待者はアダムに
「私はあなたになって遊びに行く。アダムの住むエデンの園へ。遠い世界へ、人生へ。この窮屈な箱から出て、自由な空間へ。」
と言っている。
招待者はアダムの体を手に入れ楽園に行くのに対し、アダムは地獄に行ったと考えると綺麗な対比となっている。
「今度は君が人生を変える番だ」の意味は?
一般的に、このセリフはポジティブな表現だが本作では違う。招待者はこれからアダムの体を乗っ取り、縛られていたオリジンビルから出ることができるが、アダムはその逆だからだ。つまり、その言葉の意味は「今度はお前が地獄に落ちる番だ」というものになる。こちらはアダムが地獄に行ったという考察の材料にもなる。
招待者はなぜ9階建てのビルの11階にいた?
英語圏では、1のぞろ目は蛇の目と言われ、縁起が悪い数字とされている。ホラー作品において縁起の悪いものは何でも使えというノリがあるのでおそらくそれだ。また、なぜゲームに10階が無く9階までなのか少し考えてみたが、それはおそらくザ・オリジンビルの実写の写真が8階建てで、屋上らしき階も含めると9階建てに見えるので、ゲームもそちらに合わせて作られたためだと考えられる。実写の写真と縁起の悪い数字、理由は明白なのだ。
感想レビュー(ネタバレあり)
ビルの怪奇現象やストーリーの作りこみが凄く、ホラーというジャンルに明確なこだわりを持っているなと感じた作品だった。ただのビルの事故物件部屋巡りゲームかと思わせておいて、実際は腹違いの兄弟を1つの軸にした秀逸なストーリーのホラーゲームであったし、怪奇現象の演出には手抜きがなく、ジャンプスケアで驚かされ、あとになって現象の意味を知ってまた恐怖するという、恐怖を二重で仕掛けてくる感じがたまらなかった。実は筆者はゲームを遊んですぐに記事にすることは少ないのだが、今回はゲームをクリアしたその日に記事の執筆にとりかかっていた。そのぐらい質が高いと感じたのだ。また、ホラー映画とは違い、ホラーゲームには時間制限がない。1階から9階までゆっくりとプレイヤーに恐怖を与えていき、最後にどんでん返しを仕掛ける本作のストーリーは、ゲームという媒体が1番合っていたなと改めて思った作品でもあった。
まあそうだな、今回の記事はあまりふざけていなかったから最後はちゃんとふざけたいと思う。
緑の鍵が万能すぎるぜ!登場する95%以上のドアを開けちまうんだ!とんだビルだぜ!
関連リンク
◆『11F』のSteamストアページ
◆筆者がYouTubeで実況投稿した動画のリンク【11F】父から相続されたビルが怪奇現象の止まらない事故物件だった【ホラゲ】
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