ホラー(映画) リミナルスペース、バックルームズ系 映画 映画感想

『バックルームズ』(2026)のネタバレ・考察・感想レビュー【ホラー映画】

ひろてく

ホラーゲームや映画の考察、感想記事を書いてます。バックルームズやリミナルスペースが大好き。

バックルームズの解説はこちら

基本情報

バックルームズ(2026)
原題:Backrooms
製作国:アメリカ
監督:ケイン・パーソンズ
脚本:ウィル・スーディク
出演:キウェテル・イジョフォー、レナーテ・レインスヴェ

あらすじ

家具店を経営するクラーク(キウェテル・イジョフォー)は、夢の挫折や経営難、さらには結婚生活の破綻など、さまざまな問題を抱えていた。そんな彼は、セラピストのメアリー(レナーテ・レインスヴェ)のもとでカウンセリングを受けながら、なんとか日々をやり過ごしている。

ある晩、クラークは店の地下にある壁から、奇妙な空間へとつながる入り口を発見する。そこに広がっていたのは、黄色い壁紙に覆われた無数の部屋と、脈絡なく置かれた家具が延々と続く、現実離れした空間だった。その空間に魅了されたクラークは、やがて毎晩のように地下へ足を運び、地図を作りながら探索を続けるようになる。

作品紹介

2019年5月12日、英語圏の匿名掲示板「4Chan」に投稿された、くすんだ黄色い壁紙の無人の部屋。その写真に追加された不穏なテキストと共に、「The Backrooms」と名付けられたその空間は、ネット上の都市伝説として広まっていった(※バックルームズについての詳細はこの記事で詳しく解説している)。やがて「SCP財団」のような共同創作型の都市伝説として、様々なクリエイターが独自の設定を追加したり、バックルームズをモチーフにゲームや映像作品を制作するようになった。

本作の監督ケイン・パーソンズは、そんなThe Backrooms人気を飛躍的に高めた人物の一人である。2022年に投稿した「The Backrooms (Found Footage)」を皮切りに、The Backroomsを舞台にした短編作品をいくつも制作してきた。
今作『バックルームズ』は、そんな彼がA24とタッグを組み、なんと(撮影当時)19歳の若さで監督を務めた初の長編作品である。
2026年5月29日に全米公開された際には、初週末で興行収入8100万ドルを突破し、初週全米1位を獲得。さらに世界での興行収入ランキングでも1位を獲得し、A24史上最大のオープニング成績を記録している。The Backroomsというテーマのみならず、ケイン氏の作り上げてきた一連の世界観への注目度の高さがうかがえる。

こんな人におすすめ

一乃作
  • 近年生まれた新ジャンルホラーの感覚を体験したい人
  • 「どこか見覚えのあるような懐かしさと同時に、妙に不穏な気持ちを覚えるような場所」に惹かれてしまう人
  • 広大に続く閉鎖空間に恐怖を覚える/ときめく人
  • 蛍光灯のノイズ音を聞いていると落ち着く人
  • 都市伝説やネットロアが好きな人
  • 最近よく聞く「リミナルスペース」とは何なのか、実際に体感してみたい人

本作はお化けが出たり、呪われたり、はたまたカルト教団が出てきたりというような分かりやすい恐怖の映画ではない。強いて言うなら「空間」からにじみ出る恐怖を楽しみ、味わう作品である。好みは分かれるかもしれないが、ぜひ、この感覚を味わってみてほしい。
バックルームズに迷い込む登場人物たちと同じ感覚で没入できるので、映画館の大きなスクリーンで見る価値は大いにある。

ネタバレなし感想(これから映画を見る人に言いたい)

一乃の感想

もし事前知識が欲しいならひろてくの解説記事を読んでもらうとよいのだが、別に一見さんお断りの映画というわけでは決してない、ということはまず言っておきたい。なぜなら、バックルームズ、およびリミナルスペースは、本来理屈ではなく感覚を味わうことに楽しさがあるものだからである(※個人の意見です)。

ごくありふれた、少しうらぶれた人気のない家具屋。閉鎖的な雰囲気なのに、どこまでもどこまでも広がるくすんだ黄色い壁紙の部屋。ランダムに置かれた、あるいは積み上げられた家具。ありえない所から生えている壁、ありえない所にあるドア。遠くから感じる何かの気配。断続的に鳴り続ける蛍光灯のノイズ。

そういったものに不安感を、もしくは魅力を感じてしまうなら、ぜひ見よう。夢に出てくること請け合いである。
あとパンフレットの内容がめちゃめちゃ充実しているので、鑑賞の際はぜひ!ゲットしてほしい。ケイン氏のシリーズの時系列や、かなり細かい小ネタの解説など盛りだくさん。

ひろてくの感想

Xや映画館での雰囲気を見ていると、本作を皮切りにバックルームズへの興味を持った方も多いように思う。都市伝説だったり、リミナルスペースだったり、そういう元ネタが分からないと見れないかというと、まったくそうではない。比較的セリフは少なく、考えるな、感じろという映画であることは間違いない。

新しいホラージャンルを体験してほしい。バックルームズは2019年に生まれた、まだ7歳のホラージャンルだ。リミナルスペースという新しいホラージャンルは、今まで存在したどのホラー映画とも違うはずだ。怖い人でもない、出口を探すでもない、圧倒的にズレた世界がそこにあるということを教えてくれる。

これ以上の説明はもう必要ないはずだ、まだ観ていない人は映画館へ、そして映画を観たら下記の考察を読んでほしい。

ストーリー解説(ネタバレあり)

主人公のクラークは、別に善人ではない。何ならそこそこ嫌な奴である。
建築家になる夢を捨てきれずくすぶってイライラしているし、アルコールに依存しているし、妻に家を追い出されたのは酒に酔って「誰のおかげでメシが食えてるんだよ穀潰しがよ~!(意訳)」と当たり散らしたからである。
経営している家具屋は全然お客が来ない上に支払いも溜まっているし、店のベッドで酒を飲みながらテレビを見て寝泊りする毎日という、わりとどん詰まりな生活をしている。一応セラピーに通っているので問題は認識しているようだが、改善の努力は見られない。
そんな彼がある日店の地下から迷い込んだのが、果てしなく続く異次元的な空間=バックルームズである。

バックルームズに魅了されたクラークは、セラピストのメアリーにもその話をするのだが、当然ながら信じてもらえない。じゃあ証拠を持って帰ってくるぜ!と従業員を伴い、未知の領域へと探索を進めたものの、全員まとめて何者かに襲われてしまう。
その後、メアリーのもとにクラークから不穏な留守番電話が入る。気になったメアリーは様子を見に行き、彼女もまたバックルームズへ入り込んでしまう。再会したクラークはバックルームズにすっかり適応しており、変化を拒絶してバックルームズに留まることを望んでいた。

バックルームズを調査研究する謎の集団「Async研究所」の影もちらつく中、メアリーは無事に現実へ戻ることができるのか?そもそもバックルームズとは何なのか?

◆考察:なぜ○○は○○に殺されたのか? / 誰もバックルームズと呼んでいない / フィル家のTVに映っていた作品 / etc...(ネタバレあり)

※この考察パートはひろてくが執筆しています

なぜクラークはクラーク船長に殺されたのか

変化や人との交流を嫌うクラークは、バックルームズの中へと入り、そこに居場所を見つけてしまった。あの場でクラークはエンティティ(バックルームズの中にいる実体たちのこと)を飼いならしていたような雰囲気だったし、クラーク本人も言っていた通り、通常のエンティティたちは何も考えないし痛みも感じない。そこにいるだけの実体のはずなのに、クラーク船長がクラークに噛みつき、クラークを殺してしまったことには矛盾があるように思える。

一方で、メアリーがAsync研究所に保護されたシーンで、クラーク船長のスキャン画像が出てきた際に、クラーク船長には脳や臓器があった。通常のエンティティの中にはそういった人間的なものはなく、表面的になんとなく複製されていたので、クラーク船長が特殊な個体であったことは明白だ。特殊個体がゆえに、クラーク船長はAsync研究所の研究対象となり、フィルからメアリーへの質問が始まったという流れが映画の後半だ。

通常個体と違い、クラーク船長はクラークという人間をより忠実に複製した個体として存在し、クラークが潜在的に「環境の変化を嫌う」ことまでもが複製されてしまったと考えると、今回はメアリーの侵入という環境の変化があったので、クラーク船長は誰それ構わず殺してしまった、と考えるのが自然か。また、最初のハグのあとに噛んだことの意味は、まだ複製が完璧ではなく、知能が低く幼児的なことを表わしていたのだろうと考えられる。クラーク船長はおそらく、まだ生後10日ほどの赤ちゃんなのだから。

誰もバックルームズと呼んでいない→なぜ呼ばなかった?

本作では、誰もバックルームズのことをバックルームズと呼んでいない。バックルームズを研究しているAsync研究所の職員のセリフでも、バックルームズのことは英語で「コンプレックス(複合体)」と呼んでいた(日本語で何と翻訳されたかは見逃したがバックルームズではなかったはず)。もともと、ケイン氏のYouTubeのThe Backrooms動画でも、Async研究所は登場し、その場所をコンプレックスと呼んでいたので驚きはなかった。ところがクラークもメアリーも、誰もバックルームズのことをバックルームズと呼んでいなかったことに、筆者は映画を観終わったあとに気づいた。

ではなぜそう呼ばなかったのだろうか?ここからは考察になるが、もともとバックルームズはwikiコミュニティから成長を始めていった。バックルームズそのものは自分が呼ぶものでもなく、ケイン氏の中には「自分が始めたものではない」という意識があったのではないかと思う。それを思わせるエピソードがあったのはご存じだろうか。

アメリカで最初にバックルームズが公開されてから、とある事件が起きた。2026年7月、グッズ販売サイト「Redbubble」でバックルームズの壁紙柄を再現した作品が、A24名義の著作権申請によって削除された騒動があったのだ。騒動が起きた直後、ケイン氏がRedditで反応し、A24に直接確認と対応を要求、そして経過をDiscordでファンに説明し、A24が公式声明で自動申請が行われたと声明を出し、直ちに撤回と復旧の手続きが始まったという流れだったが、その際にケイン氏は

“I’m looking into this. Should not be happening.”
「この件を調べています。こんなことは起きるべきではありません」

とRedditスレッドにて述べている。この件については、ケイン氏は対応を求めるだけでなく確認と是正を働きかけたほど能動的に解決に向かった理由は、バックルームズは皆で作り上げてきた都市伝説なのだという意識が強いからではなかろうか。だからこそ安易にあの場所をバックルームズと呼ばず、ただそこに存在することだけを視聴者に伝えたのだ。考察の内容を一言で語るならば、都市伝説は自分が都市伝説と語らない。人々が語るから都市伝説になるということだ。

しかしまぁまだ21歳って、動きが大人より大人すぎて、信念を持っていて本当に好きになる。

フィルの家にTVに映っていた作品

映画やドラマなど、作中の古いテレビに映される作品は、だいたい意味を持って映されているものだ。本作では、Async研究所の職員のフィルが、家でTVを見ている際に映像が映っていた。映っていた映画は「ネバーエンディング・ストーリー」。その映画では、現実世界と物語の世界がリンクするような描写がある。インタビュー記事やパンフレットなどを読むと分かるが、ケイン氏はさまざまな映画を観ている。中でもこの作品が、ケイン氏のバックルームズの世界観に大きく影響を与えたということだろう。

ボビーが調査した、下の部屋に大量にあった服

傾斜のきつい、狭い通路を見つけたクラークは、従業員のキャットやボビーに探査の協力を求める。ボビーは探査のため下に降りていったが、最初に出会うのは大量の臭い服。人が住んでいるようでもなく、まるで貝塚のように雑に服が捨てられているシーンは印象的だった。あの服はいったい何だったのだろうか。

あれはクラーク船長の生活圏だろう。映画だと描写が少なかったが、YouTube映像やwiki創作では日々、多くの人々が行方不明になってバックルームズに入り込んで行方不明となっている。バックルームズの性質はコミュニティによって違うが、ケイン氏のバックルームズでは特殊個体が食べていることで他の場所が清潔になっていたのだろう。ケイン氏のバックルームズは同じ場所に戻ることができる造りになっており、汚れたら汚れっぱなしになるので、汚い場所はできるだけまとめたい、という独自のバックルームズの性質があるのだと考えられる。

ちなみに有名なファンダムのwikiコミュニティでは、あの黄色い部屋の場所では、同じ場所には二度と戻ってこれないし、振り返ると同じ場所ではなくなっているため、一度離れると同じ人と再会することは二度とできない、といったような性質になっていたりする。よってケイン氏のバックルームズはかなり特殊な黄色い部屋だということは、長年のバックルームズ愛好家として言及したいポイントだ。あの映画がバックルームズのすべてではないということは、映画を観てバックルームズを知った方にはおさえておいてほしい。

バックルームズへの入場方法 カモメはどこから来た?

本作では、バックルームズの入場方法は2つあった。
1つはクラークの店の中の壁が通り抜けてバックルームズにつながっているパターン。
2つ目は、Async研究所の扉(Shreshold=スレショルドと呼ばれる)。

じゃあカモメはどこから来たのだろうか?まるで飛行中に突然バックルームズに入り込んで、バックルームズの壁にぶつかってしまったような描写だった。ここからは考察というよりも、長年バックルームズのいくつものコミュニティを見てきた人として解説すると、バックルームズへの入り方はわりとたくさんあることを伝えたい。

たとえばケイン氏のYouTube動画の『Found Footage #2』では床の穴だったり、創作wikiコミュニティによっては「長期休暇中にあぜ道を歩くだけ」で入っていってしまったりする。ほかにも特定の儀式を行った場合など、本当にさまざまな方法がある。

本作のカモメは、不運にも空中にできた時空の割れ目からバックルームズに入ってしまってしまったパターンだ。実はケイン氏のYouTube動画『Backrooms - Found Footage #2』にて、あのカモメの車版が登場している。走行中に突然バックルームズに入ってしまったような車が、黄色い壁にぶつかって廃車になっている映像が映されている。

クラークがメアリーに言った「窓をあけた、もう戻らない」

メアリーが最初にバックルームズに入った後、まるでメアリーの人生の悩みが描かれたような壁画を見つけ、クラークと再会するメアリーだったが、クラークにはメアリーの人生を見透かすようなことを言われる。メアリーには精神疾患を患った母親がおり、メアリーの幼少期はその母親に監禁されて育ったような描写が続いていた。特にメアリーが窓を開けようとすると、メアリーの母親はそれを必死で止めようとする。あの窓の意味するところは、一度バックルームズに入ると、二度と現実には戻れないことを意味しているのだと考察する。何より、さまざまなwikiコミュニティでも、現実に戻る手段はほぼなく、その描写を安易にすることは低評価につながっている印象だ。実際本作、ケイン氏のバックルームズでも、バックルームズに入った人は、フィルを除いて誰も生還していない。フィルについても、Async研究所を通じてバックルームズに関わってしまったので、将来ナレンのように映像だけが見つかる末路が待っていることだろう。

また、バックルームズゲームでも、バックルームズ系の動画でもよくあるシーンなのが、一瞬現実に還ったように思わせる、現実に似た空間を訪れさせて、実はそこもバックルームズだったという二段構えの地獄落としが本作でも炸裂していた。現実世界に帰還することは非常に難しいことを悟った、バックルームズ側の人間になったクラークが放った言葉はおそらく、誰でもないバックルームズのセリフだったのだと筆者は考える。

Everything Must Go!

「全品一掃セール!」そんなクラークのお店の張り紙が1つの映像となった。
複製が複製を呼ぶバックルームズの性質の断片を1つの映像にし、なおかつ本作の前日譚のような追加ムービーにしているのは、1つの映像に複数の意味を込めるケイン氏ならではの手法で、相変わらずさすがだなと思った。しかも驚くべきは、映画公開後に着手し、自分のノートPCのBlender(3DCGソフト)で、2週間弱で制作した」というのだから根っからのクリエイターなのだと分かる。

バックルームズそのものを初見で観た人は、おそらく「何だこれ」と思ったことも多いかもしれないが、ケイン氏は、ああいったバックルームズ内を調査する断片ムービーを好む。バックルームズの天井にたくさんある蛍光灯に着目した動画もあったり、そこからその世界の異様さを、横から伝える動画というのはケイン氏のあるあるなのである。

感想(ネタバレあり)

一乃の感想

わりと期待値高めで見に行ってしまったのだが、期待をゆうに超える満足度だった。

ここで描かれているバックルームズは現実の劣化コピーであるがゆえに、見覚えがある。だから、奇妙な安心感があると同時に、その「見覚えがあるものがちょっとだけ絶対的にズレている」という感覚がひどく不穏なのである。人工的なのにどこか有機的というか。だから、ラストで住宅街やクラークの家具店がまるまるコピーされているのを見てものすごくぞわぞわした。このぞわぞわは、怖いと同時にある種の気持ちよさでもある。クラークも、変化を強いられる現実なんかより、現実っぽいけど不変でいられるバックルームズに居心地のよさを覚えてしまったのかもしれない。

メアリーはメアリーでトラウマを持っていて、精神を病んだ母親から「窓を開けるな、外には出るな」と強いられて育った彼女が、自ら著した自己啓発本では「内なる窓を開けよう」と説いているのが非常に示唆的だ。けれどメアリーも、幼少期に育った家が都市開発で取り壊されたことにとらわれ続けており、彼女も「変化させられたことに対する傷」みたいなものがあったのかもしれない。そうすると、彼女もバックルームズとの親和性があったことになり、一歩間違えばクラークのようになっていた可能性がある。

ラストでAsync研究所に保護されたメアリーだが、ちゃんと家に帰してもらえるのかどうかは不明なままだ。ある意味では彼女もバックルームズから脱出しきることができなかった、と言えるのではないだろうか。

登場人物たちの精神的な動きとバックルームズの関係を考えるのも面白いのだが、純粋に「バックルームズ」という空間の良さをこれでもかというほど味わえるのも本作の魅力である。黄色い壁紙とランダムな構造が果てしなく続くLevel 0はもちろん、プールルームズっぽい部屋や、クリスマスツリーが輝く真っ暗な部屋など、思わずときめく空間がたくさん出てくる。大体逃げている途中で出てくるので、ちょっとしか映らないのが非常にもったいない。アートブック的なやつをぜひ出してほしい。

最後に、本作が好きな方に一番おすすめしやすい映画が『ビバリウム』だと思うのだが、個人的なイチオシとしては『スキナマリンク』を挙げたい。ストーリーと呼べるストーリーがないのでめちゃめちゃ好き嫌いが分かれると思うのだが、リミナルな雰囲気に没入したい人にはおすすめ。

ひろてくの感想

2年ほど前から映画化のニュースがニュースサイト「Deadline」で報じられて以降、ずっと楽しみにしていたバックルームズの映画化。海外のネット都市伝説が元ネタなので、それを映画化して世界中に伝えるというのは至難の業であるはずなのに、ケイン氏は世界中でバックルームズの映画を大成功させている。

たとえばどうだろう、日本のネット怪談では「きさらぎ駅」は有名だが、ここまで世界中にヒットさせることは通常可能だろうか。筆者もそうだが、必死に記事や動画で、リミナルスペースという恐怖の美学概念や、都市伝説バックルームズ系のゲームを実況する中で、初見の人にたった2時間という時間でそれを伝えるのは不可能に近い。有名な俳優を使ったわけでもないのに世界中でここまで大ヒットさせたことは、ほかならぬケイン氏の偉業だと言える。初見で新しいジャンルのホラーを受け入れてもらうことは想像以上に難しいことだ。

ところで、本作には圧倒的に天才だとしか思えないポイントがあった。

それはリミナルスペースという概念の伝え方だ。
安易に階層を出現させなかった。よくある売れる映画を出すならば、有名な俳優を使い、多くのエンティティに追われながら、多くの階層を冒険するように追い詰め、最後は脱出するという流れが普通のホラー映画だろう。

ところがケイン氏はあえて、あの黄色い部屋「レベル0」にこだわった。
「あの黄色い部屋が無限に続いたら...」
「この黄色い部屋の他に、都市が無限に続いたら...」
「エンティティがこういう形で存在したら...」

これを視聴者に感覚的に伝えたのである。
それはまさしく、バックルームズが生まれた瞬間と酷似する。
どこかズレた1枚の黄色い部屋の写真から生まれたバックルームズ

それを今度は、1つの黄色い部屋の映画から恐怖を連想、複製させる、リミナルスペースという概念を自然に伝える手法をとったのである。これに気づいたとき、世界でヒットした理由が分かった。

画像1枚で爆発的に広まる都市伝説になるのだから、映画1本ならば、という発想だ。

もう脱帽という言葉では1/100も足らない。

ここまで長く待ってきたが、本当に待った甲斐があった。そんな映画であった。

ここまで読んでいただいた方へ

リミナルスペースやバックルームズについてちょっとでも興味を持った方へ、僕これからもゲームやブログ記事を通じて広く皆さんに伝えていきたいので、ぜひひろてくにも興味を持っていただいて、XYouTubeなどでひろてくを応援していただけると嬉しいです。

関連リンク

・A24のバックルームズ公式サイト

・ひろてくX

・ひろてくYouTube

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